<この国はどこへ行こうとしているのか> ◇貧困対策まず一歩に--「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク共同代表・山野良一さん 「このところ発覚した虐待事件は、貧困問題にからんでいる事例が非常に多い」。児童福祉司として、長く虐待現場に携わった「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク共同代表の山野良一さん(50)はその象徴的なケースとして、東京都江戸川区の小学1年、岡本海渡(かいと)君(7)が今年1月、身体的虐待を受けて死亡した事件に目を向ける。 「母親は逮捕されたとき、22歳で、海渡君を15歳で産んでいる。このお母さんがどんな幼少期を過ごし、どう育てられたかに関心がある。きちんとケアを受けていたのだろうか。人手不足の児童相談所は虐待の対応で手いっぱいで、思春期や中学卒業後のケアがしきれない現状にある。高校中退など学校を去ってしまう子どもは一番支援が必要なのに、そのサポートが抜け落ちて空