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ブックマーク / www.kyoto-u.ac.jp (9)

  • ベニガオザルで「死亡個体との交尾行動」を野生霊長類で初めて記録―霊長類の死生観の解明に迫る極めて貴重な観察事例―

    動物にとって、個体の「死」は避けることができない現象です。動物は、仲間の「死」に直面した時に、どう振る舞い、どのような影響を受け、それとどう向き合うのでしょうか。こうした動物の死生観を明らかにするのが死生学です。 この度、豊田有 野生動物研究センター特任研究員(兼:日学術振興会国際競争力強化研究員)、松田一希 同教授らの研究グループは、野生の霊長類としては初めてとなる死亡個体との交尾行動をタイ王国に生息するベニガオザルで観察しました。ベニガオザルは、名前のとおり赤い顔が特徴的な、体格の大きなオナガザル科マカク属の霊長類で、インド・中国・タイ・ベトナム・マレーシアなど、アジア地域に局所的に生息しています。近年は森林伐採や土地開拓によって数少ない生息域が消滅・分断化され、絶滅の危機に瀕しています。生息域が局所的な上、切り立った崖の多い岩山を好んで生息するために、種の科学的な調査は難しく、こ

    ベニガオザルで「死亡個体との交尾行動」を野生霊長類で初めて記録―霊長類の死生観の解明に迫る極めて貴重な観察事例―
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    notio 2024/05/22
  • 大地震発生直前に観察される電離層異常発生の物理メカニズムを発見―地殻破壊時に粘土質内の水が超臨界状態となることが鍵―

    梅野健 情報学研究科教授、水野彰 同研究員、高明慧 同専門業務職員(研究当時)らの研究グループは、大地震発生直前に観察される電磁気学的異常を地殻破壊時の粘土質内の水が超臨界状態であることにより説明する物理メカニズムを発見しました。今まで、2011年東北沖地震、2016年熊地震などの大地震発生直前に震源付近の電離層上空に異常が観測されたことが報告されていましたが、なぜ大地震発生直前の電離層に異常が生じるかを明確に説明する物理モデルの報告はなく、幾つかの仮説が提唱されているのみでした。 研究グループは、プレート境界面には、すべりやすいスメクタイトなどの粘土質が存在し、その粘土質の中にある水が地震発生前の高温高圧下で超臨界状態となり、電気的な性質が通常の水と異なり絶縁性となり、電気的特性が急に変化することで電磁気学的異常が生成することを初めて提案し、電離層への影響を大気の静電容量によりモデル

    大地震発生直前に観察される電離層異常発生の物理メカニズムを発見―地殻破壊時に粘土質内の水が超臨界状態となることが鍵―
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    notio 2024/04/19
  • シカの増加が川の魚の個体数に影響することを示唆 -長期観察から見えてきた森と川の意外なつながり-

    中川光 東南アジア地域研究研究所特定助教は、ニホンジカの過剰な摂による森林環境の変化が、川の魚の個体数の増加・減少にも影響を及ぼしている可能性があることを、芦生研究林において11年間継続してきた魚類と生息環境の観察によって示しました。 研究では、シカによる大規模な林床植物のべ尽くしがおこっている芦生研究林内の由良川において、2007年5月から2018年6月にかけて、シュノーケリングによる魚類の個体数のカウントと環境の測定を行いました。 その結果、調査地の川では森から流れ込んだ土砂が堆積して砂に覆われた川底が増える一方で、大きな石に覆われた川底は減少していました。そして、この環境の変化に対応して、魚類では大きな礫(れき)を好むウグイという種が個体数を減らした一方で、砂地を好むカマツカという種が増加する傾向が観察されました。 結果は、現在日だけでなく世界中で問題になっているシカの個体

    シカの増加が川の魚の個体数に影響することを示唆 -長期観察から見えてきた森と川の意外なつながり-
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    notio 2019/06/09
  • 日本人の表情がエクマンの理論とは異なることを実証 -世界で初めて日本人の基本6感情の表情を報告-

    佐藤弥 こころの未来研究センター特定准教授らの研究グループは、日人65人を対象として、表情の表出を調べ、日人の表情が心理学研究において著名なエクマン博士の理論とは異なることを実証しました。 表情は感情を表すメディアで、人のコミュニケーションに不可欠です。エクマンは、感情を表す普遍的な表情があるという理論を提案しました。理論は、観察や直感に基づいていましたが、基感情の表情表出を実証的に調べた先行研究は、この理論を部分的にしか支持していませんでした。さらに、そうした研究は今まで、西洋文化圏でしか実施されていませんでした。 研究では、被験者は基6感情(怒り・嫌悪・恐怖・喜び・悲しみ・驚き)のシナリオに基づいて表情を表出しました。その結果、写真条件ではターゲットの感情が明確に表出されましたが、シナリオ条件では幸福と驚きの条件でしかターゲット感情ははっきりと表出されませんでした。さらに、写

    日本人の表情がエクマンの理論とは異なることを実証 -世界で初めて日本人の基本6感情の表情を報告-
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    notio 2019/02/14
  • 性淘汰が生物多様性を維持することを解明 -身勝手な競争が集団サイズを安定化させる- — 京都大学

    小林和也 フィールド科学教育研究センター講師は、性淘汰のうち特に「性的嫌がらせ」(生まれてくる子供の数が減ってしまうかわりに競争相手よりも自分の子供の割合を高める性質)が、生物多様性を維持している可能性を理論的に示し、シミュレーションによってこの理論が上手く機能することを示しました。なお、研究における「性的嫌がらせ」とは、自然界の繁殖行動上の現象を示す生態学の用語であり、社会問題としての「性的嫌がらせ」(セクシュアル・ハラスメント、セクハラ)とは一切関係ありません。 研究成果は、2018年11月14日に英国の国際学術誌「Journal of Ecology」にオンライン掲載されました。 自然界には多種多様な生き物がいますが、それらの生き物の特徴的な色や形の多くは繁殖に関わる性質です。特に種類を見分けるのに役立つ性質、例えば植物の花の形や鳥の鳴き声は、まさに生物多様性の中心的存在です。そ

    性淘汰が生物多様性を維持することを解明 -身勝手な競争が集団サイズを安定化させる- — 京都大学
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    notio 2018/11/15
  • 世界で初めて「性を失った」シロアリを発見 -シロアリの常識を覆すメスだけの社会- — 京都大学

    矢代敏久 農学研究科特定研究員(現・シドニー大学研究員)、松浦健二 同教授、小林和也 フィールド科学教育研究センター講師らの研究グループは、来はオスとメスが共同で社会生活を営んでいるシロアリにおいて、メスしか存在せず、単為生殖だけで繁殖しているシロアリを世界で初めて発見しました。 研究成果は、2018年9月25日に、英国の科学誌「BMC Biology」のオンライン版に掲載されました。 アリとシロアリの社会の違いは何かと聞かれた時に、まずお答えするポイントは、アリはメス社会、シロアリは両性社会を営んでいるということです。アリの社会は女王とメスのみのワーカーで構成されている(オスは交尾すると死んでしまう)のに対し、シロアリの社会には王と女王、そしてオスとメスのワーカーや兵アリがいます。 しかし、この大前提はもはや適当ではなくなりました。なぜなら、シロアリであるにもかかわらず、メスしかいな

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    notio 2018/10/03
  • 機械学習により「動物の行動戦略」を解読 -動物は何を報酬として行動しているのか-

    田直樹 生命科学研究科准教授、山口正一朗 情報学研究科修士課程学生(現・株式会社Preferred Networks)、石井信 同教授らの研究グループは、動物の行動データから報酬に基づく行動戦略を明らかにする機械学習法を考案しました。さらに、森郁恵 名古屋大学教授らと共同で、この手法を線虫の行動へと応用することで、その有効性を示しました。手法によって、従来の行動が制限された行動実験系から開放され、より自然な状況において自由に振る舞う動物の行動戦略の研究が進むことが期待されます。 研究成果は、2018年5月15日に米国の学術誌「PLoS Computational Biology」に掲載されました。 ヒトや動物は、さまざまな状況に対してそれぞれ価値付けを行い、より価値の高い状況を目指す戦略を取っていると考えられます。今回私たちは、動物の行動データからその裏に潜む戦略を解読する計算論的手

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    notio 2018/05/23
  • 文法を操るシジュウカラは初めて聞いた文章も正しく理解できる

    鈴木俊貴 生態学研究センター研究員らの研究グループは、鳥類のシジュウカラが文法のルールを当てはめることで、初めて聞いた文章(鳴き声の組み合わせ)であっても正しく理解できることを明らかにしました。 研究成果は、2017年7月28日午前1時に米国の学術誌「Current Biology」にオンライン掲載されました。 研究者からのコメント 私たちは、初めて読んだり聞いたりした単語の組み合わせ(文章)であっても、それが文法的に正しいかどうか瞬時に判断し、意味を理解することができます。一方、動物のコミュニケーションは、各種音声に決まった反応を示す単純なものであると考えられてきました。研究では、鳥類の一種・シジュウカラが文法のルールを当てはめることで、初めて聞いた鳴き声の組み合わせも正しく理解できることを明らかにしました。成果は、動物のコミュニケーション能力の柔軟性を明らかにしただけでなく、ヒト

    文法を操るシジュウカラは初めて聞いた文章も正しく理解できる
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    notio 2018/01/08
  • 見られていると絶縁体が安定化する -観測による量子多体状態の制御技術を確立-

    富田隆文 理学研究科博士課程学生、高橋義朗 同教授、段下一平 基礎物理学研究所助教らの研究グループは、レーザー光を組み合わせて作る光格子に極低温の原子気体(レーザー冷却、蒸発冷却などを施し、真空容器中の気体を絶対温度でナノケルビンの温度にまで液化・固化させることなく冷却させたもの)を導入し、周囲の環境との相互作用によるエネルギーや粒子の出入り(以下、散逸)が量子相転移(圧力や磁場などを変化させた際に量子力学的なゆらぎにより物質の状態が異なる状態へと変わること)に与える影響を観測することに、世界で初めて成功しました。 研究成果は、2017年12月23日午前4時に米国の科学誌「Science Advances」に掲載されました。 極低温原子気体を用いた量子シミュレーションは21世紀に始まった比較的新しい研究方法で、いまなお大きな発展の可能性を秘めています。今回の研究でシミュレートした開放量子

    見られていると絶縁体が安定化する -観測による量子多体状態の制御技術を確立-
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    notio 2017/12/26
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