脳細胞の大半を占める「グリア細胞」に、低温を感じるセンサーがあることを、阿相皓晃(あそうひろあき)・慶応大特別研究教授(細胞生物学)のチームが動物実験で突き止めた。脳の温度検知機能が確認されたのは初めて。 心筋梗塞(こうそく)や呼吸障害など、脳に血液や酸素が十分行き渡らない状態に陥った患者の体温を下げて脳を保護する「低体温療法」の効果的な手法の開発に役立つ可能性がある。 グリア細胞は、神経細胞とともに脳細胞を構成しているが、その機能には謎が多い。チームは、グリア細胞が温度の違いでどう変化するかを、マウスを使って調べた。 さまざまな温度でグリア細胞を培養したところ、低体温療法と同じ約32度で最も活発に増殖し、その数はマウスの平熱である約37度の時の1・5倍だった。増殖にかかわっているのは、生命活動に必要なエネルギーを作り出すたんぱく質「VDAC1」で、VDAC1を働かないように操作したマウス