年が替わっても、去年の気がかりはどれも解決せず持ち越され、思い結ぼれる。世事にかかわる主な例を三つあげよう。 原子力発電に依存する生活を今にして悔やむ人たちの非難。「原発政策には民主主義が機能していなかった」。民主主義なら巨大科学技術を止められただろうか。 アラブ革命。独裁者が数人去った。「自由だ。民主化だ」。だが、流血は続き、イスラム政党が多数を占め、それらの国が何を、どう目指すのかは誰も知らない。 欧州債務問題。金融屋がはやし立てる。「民主主義ののろまめ。市場は容赦しないぞ」。はて、グローバリズムは民主主義の世界輸出とセットだったのでは……。 あっちでもこっちでも民主主義は明らかに失敗している。「それでも民主主義の可能性を信じよう」というのが新聞の決まり文句だが、それはゴマカシでしょう。 むしろ気がかりは、それでも民主主義が看板としてあがめられている、つまり、今や世界の正統思想、普遍的