さらし者 フランス人のストロスカーン逮捕を大きく報じるフランスのメディア Gonzalo Fuentes-Reuters フランスの次期大統領になるかもしれないと思っていた男が、押し寄せる報道陣の前で裁判所へと連れられていく――性的暴行容疑で連行されるIMF(国際通貨基金)のドミニク・ストロスカーン専務理事の姿を目にしたとき、フランス国民の感情は恥じ入る気持ちから一転、アメリカの司法に対する怒りへと変わった。 「あの様子は想像を絶するほど野蛮で暴力的で残酷だと感じた」と元フランス司法相のエリザベート・ギグーは記者団に語った。彼女のこの発言は、大方のフランス国民の気持ちを代弁している。 ストロスカーンが罪を犯した可能性があることは、フランス人でも承知している。だがフランス革命のギロチン刑や民法典の基礎となったナポレオン法典の歴史を経験してきたフランスは、「推定無罪」の考え方を重視している。