タグ

ブックマーク / book.asahi.com (112)

  • 「プライドの社会学―自己をデザインする夢」書評 所属の不安定化で源泉がゆらぐ|好書好日

    プライドの社会学 自己をデザインする夢 (筑摩選書) 著者:奥井 智之 出版社:筑摩書房 ジャンル:新書・選書・ブックレット プライドの社会学―自己をデザインする夢 [著]奥井智之 プライドとは、個人的な満足によるものなのだろうか。それとも、社会的な評価を要するものなのだろうか。たとえば、尊敬される地位、高い学歴、美しい容姿……等々は、個人的な資源でありつつも、社会の中で他人にその価値を共有されねば評価されない。自分や自分が属すものへの評価体系。書はそれをプライド・システムと呼び、一般には心理的な問題とされているプライドを、社会学的に問い直すことを眼目としている。 なるほどプライドとは、誠に魅力的で厄介な代物だ。たとえば、ジェーン・オースティン『高慢と偏見』の、「高慢」の原語はまさに「プライド」。「高慢」ならば悪徳だが、「自負」ならばどうだろうか。むしろ向上心の表れではないのか。この両義

    「プライドの社会学―自己をデザインする夢」書評 所属の不安定化で源泉がゆらぐ|好書好日
    nstrkd
    nstrkd 2013/06/25
  • 『「幸せ」の戦後史』書評 喪失感の中から生きた時代問う|好書好日

    「幸せ」の戦後史 [著]菊地史彦 生まれて60年余り、日は豊かになって来たはずなのだが、私は常に「失い続けている」という思いが消えなかった。それは個人的な事情ではなさそうだ。やはり、そのことに向き合わねばならないのだろう。書を読みながらつくづくそう思った。 著者と私は同じ1952年に生まれた。の冒頭に出て来るのは「社会意識とは何か」を問う章なのだが、いきなり歌の中に引き込まれる。ふるさとをテーマにした流行歌から明らかになるのは、60年代におけるふるさとの喪失である。地方から都市に出た人々のことだけではない。著者も私も都会の下町の生まれだが、親たちは団地にあこがれた。著者は団地に移り住み、私の家族は抽選から漏れて移り住めなかった。しかししょせん同じことで、下町は崩壊し郊外に出ることになった。至る所にふるさとの喪失はあったのだ。 高度経済成長と裏腹に、「喪失」は60~90年代の特徴である

    『「幸せ」の戦後史』書評 喪失感の中から生きた時代問う|好書好日
    nstrkd
    nstrkd 2013/05/15
  • 「ファッションフード、あります。」書評 はやりの食物の元気な文化史|好書好日

    ファッションフード、あります。 はやりのべ物クロニクル1970−2010 著者:畑中 三応子 出版社:紀伊國屋書店 ジャンル:暮らし・実用 ファッションフード、あります。 [著]畑中三応子 何とも元気の良い文化レビュー。筆者は流行のべ物を「ファッションフード」と命名、主として1970年代から2010年までを疾駆して見せた。70年代は、ちょうど日が消費文化の成熟を見せ始めた時期である。あらゆる商品のメディア形態化は、文化にも波及した。 特筆すべきは、ファッションフードが、を既存の性別分業意識から解放したとの指摘である。文化は望ましい家庭像と表裏一体だが、「おしゃれな」の浸透は、若い女性を台所から解放し、さらに男性を趣味料理へと誘(いざな)った。なるほど、消費文化は既存のアイデンティティーを攪乱(かくらん)し、軽やかに越境させる。 若干物足りなかったのは、スローフードや地産

    「ファッションフード、あります。」書評 はやりの食物の元気な文化史|好書好日
    nstrkd
    nstrkd 2013/05/04
  • 「踊ってはいけない国、日本」書評 人類的行為を抑圧する不均衡|好書好日

    踊ってはいけない国、日 風営法問題と過剰規制される社会 著者:磯部 涼 出版社:河出書房新社 ジャンル:社会・時事・政治・行政 「無許可で客を踊らせ」た罪で摘発されるクラブ、違法ダウンロード刑罰化、生活保護受給バッシング、レバ刺し禁止、消えゆく歓楽街…。誰が誰の首を絞めているのか? 過剰規制されゆ… 踊ってはいけない国、日 風営法問題と過剰規制される社会 [編著]磯部涼 一般に風営法と呼ばれる法律によって、特にここ数年、大阪を中心としてクラブが摘発され続けている。主に若者を顧客として持ち、DJによる大音響での音楽再生によって踊りを楽しむ方のクラブだ。 これまでも“午前零時、条例によっては午前一時を過ぎて客を踊らせていた”罪での摘発はあったが、運用は比較的穏やかだった。それが今、どういうわけか一気に厳格化されつつある。 なぜ踊ってはいけないか。法の運用に恣意(しい)性はないか。表現の自由

    「踊ってはいけない国、日本」書評 人類的行為を抑圧する不均衡|好書好日
    nstrkd
    nstrkd 2013/04/20
  • コラム別に読む : 韓国大統領選 木村幹さんが選ぶ本 - 木村幹(神戸大学教授〈朝鮮半島地域研究〉) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    nstrkd
    nstrkd 2013/04/18
  • コラム別に読む : 「女の子」の今 松谷創一郎さんが選ぶ本 - 松谷創一郎(ライター) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■傍流が主流を侵する混沌 2013年の現在、「女の子」を一括(ひとくく)りに語るのは難しい。00年代には、エビちゃんこと蛯原友里のような強力なロールモデルがいた。フェミニン路線が特徴の女性ファッション誌「CanCam」の専属モデルとして一世を風靡(ふうび)した蛯原だったが、現在は彼女のような主流たる女の子像が不在だからだ。 そのなかで独自の存在感を示しているのが、幅広い若者層から人気を集める歌手でモデルのきゃりーぱみゅぱみゅである。 その特徴は、奇抜で派手なファッション。きゃりーを支持してきたのは、フェミニンな「CanCam」などとは対極のスタイルを好む原宿系の女性たちである。だが、最近ではコンサバファッションに代表される主流とされてきたフェミニン路線のスタイルにも影響を与え始めている。傍流だった存在が、従来の主流を侵している。一言で表せば現在は、こうした混沌(こんとん)状況だ。 ■オ

    コラム別に読む : 「女の子」の今 松谷創一郎さんが選ぶ本 - 松谷創一郎(ライター) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
    nstrkd
    nstrkd 2013/04/18
  • コラム別に読む : あふれる「○○力」 牧野智和さんが選ぶ本 - 牧野智和 (早稲田大非常勤講師[社会学]) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■生き方の定番が揺らいで 昨年のベストセラー1位は阿川佐和子『聞く力』(文春新書・840円)だとのこと。「○○力」ものはもう出尽くしたと思っていたのだが、まだこのブームは続く、いや、一つの定番と化したのかもしれない。 『聞く力』以前にも、渡辺淳一『鈍感力』、姜尚中『悩む力』、池上彰『伝える力』など、「○○力」もののベストセラーはあった。この系譜はどこから続いているのだろうか。 私の見立てでは、1998年に刊行された赤瀬川原平『老人力』が有力な「起源」だ。老いの兆候だとネガティブに捉えがちなことを「老人力」と言い換えることで、機知とユーモアをもって老いとつきあえるようになる。「老人」と「力」という意外な言葉の掛けあわせに、そんな効果があると知らしめただ。 言葉の掛けあわせによる化学反応を狙って、「○○力」はこの頃から増え始める。女性誌「anan」では同じく98年に「恋愛力」特集が組まれ、ビ

    コラム別に読む : あふれる「○○力」 牧野智和さんが選ぶ本 - 牧野智和 (早稲田大非常勤講師[社会学]) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
    nstrkd
    nstrkd 2013/02/20
  • asahi.com(朝日新聞社):幻影(イメジ)の時代 [著]ブーアスティン - 漂流 本から本へ - BOOK

    幻影(イメジ)の時代 [著]ブーアスティン[掲載]2010年2月21日[筆者]筒井康隆(作家)■大きなテーマを一人称で この社会科学書を読んだ時の衝撃は今でも憶(おぼ)えていて、それどころかこのに書かれたことが現今に近づくにつれてますます顕著になってくることを、ぼくは事あるごとに思い知らされたものだ。疑似イベントとは、現代人の飽くことを知らぬ途方もない期待に応えようと、マスコミが、政府が、時にはわれわれ自身が生み出す作られた出来事のことである。ニュースは取材されるものではなく作られるものであり、事件のニュースが報じられていない日の新聞を読んで「なんと退屈な日だ」ではなく「なんと退屈な新聞だ」と読者に言われぬよう、マスコミは日日面白いニュースを作り出そうとする。かくて報道倫理に従った高級紙は没落していくことになる。現実に起(おこ)った出来事は、その場にいる人間よりもテレビを通じて見た者によ

    nstrkd
    nstrkd 2013/01/04
  • asahi.com: バブル文化論―〈ポスト戦後〉としての一九八〇年代 [著]原宏之 - 書評 - BOOK

    ■「消費」幻想VS.「かっこいい」ピテカン 1988年、日全体の地価の総計は1164兆円で、この金を出せば、日の25倍の広さをもつアメリカを二つ買えた。今となっては誰もが笑い話としか思えないこの虚構を信じえた時代が、日の80年代である。 原宏之の『バブル文化論』によれば、80年代とは、こうした金銭的飽和状態を背景に、消費と所有によって他人とは異なる自己実現ができると信じた共同幻想の時代だった。簡単にいえば、ブランド(しるし)をつけ替えるだけで、新しい自分を創造できると思いこんでいたのだ。 その幻想を支えたのは、ブランドを中心に消費情報を主導した雑誌・テレビなどのメディアだった。西武百貨店がヒットさせた「おいしい生活。」というコピーは、まさにこのうつろな消費スタイルを代弁するものであり、このときからデパートはモノではなく、消費のための情報を売る場所になった(安ければ安いほどいい実用品専

    nstrkd
    nstrkd 2012/10/16
  • 本の記事 : 鼎談・読書について 筒井康隆さん×丸谷才一さん×大江健三郎さん | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    朝日新聞2011年1月30日読書面に掲載された鼎談を再録します。 ◇ 筒井康隆さんが読書面で連載した『漂流――からへ』が朝日新聞出版からになりました。筒井さんと、同学年の大江健三郎さん、このほどをめぐる随筆集『星のあひびき』が出た丸谷才一さん。3人の作家による「読書について」の鼎談(ていだん)では、豊かで多彩な読書体験が語られました。(構成・大上朝美) ■面白いを飛び石伝いに 筒井 大江 僕は『漂流』推薦の言葉に「面白ヒトスジの大読書家」と書きました。筒井さんは子どもの時から面白いをつかまえる名人で、つかまえたら正面から熱中する。自分に根を下ろすよう大切にする。その後、一つ一つが書かれるものの柱になります。最初は俳優になりたかったのが、ある時から小説家の自分を自覚する。その方向に読み進む過程が、あざやかなドラマですね。 丸谷 読書に対するエネルギーに圧倒されるね。僕なんかとても

    本の記事 : 鼎談・読書について 筒井康隆さん×丸谷才一さん×大江健三郎さん | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
    nstrkd
    nstrkd 2012/10/16
  • asahi.com(朝日新聞社):戦後分析・見取り図めざす『戦後日本スタディーズ』刊行始まる - 出版ニュース - BOOK

    nstrkd
    nstrkd 2012/08/19
  • インタビュー : 「カフカ=ホサカ式練習帳」が示す小説の自由 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    小説とは何かを問いかける保坂和志の『カフカ式練習帳』(文芸春秋)が刊行された。出会ったやカラスの話、小学校時代の思い出や夢の記憶、折にふれ読んだからの引用など、さまざまな断片がとりとめなく並ぶ。カフカが遺したメモに着想を得た〝生前の遺稿集〟のような作りで、保坂が理想とする小説質を伝える「ホサカ式練習帳」ともいえる。「カフカ=ホサカ式」の基礎となる小説観を聞いた。 * 私が乗った線の特急△△△行きは駅に停まるたびに、「各駅停車△△△行き待ち合わせのためしばらく停車します」との車内放送が流れた。/事情を知れば、ということは路線図を見れば、誰しも納得するが、耳で聞くだけでは、ということは言葉で読むだけでは、何とも奇妙な線に思えた。(『カフカ式練習帳』「前々から一度、うちに遊びに来たいと言ってた山下君が」) * 全24章に収められた文章は見事なまでにばらばら。1行の引用もあれば、ちょっとし

    インタビュー : 「カフカ=ホサカ式練習帳」が示す小説の自由 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
    nstrkd
    nstrkd 2012/07/04