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ブックマーク / book.asahi.com (112)

  • 大ヒット映画「花束みたいな恋をした」より深く楽しむ 麦と絹の恋を彩るブックリスト|好書好日

    文:岩恵美 ある晩、終電を逃したことから偶然出会った大学生の山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)。好きな作家や音楽映画などの趣味趣向が似ていることから意気投合し、あっという間に恋に落ちる。多摩川沿いの部屋で同棲を始め、大学卒業後はフリーターをしながら暮らすも、現実は甘くなかった。二人で過ごす楽しい日々の現状維持を目標に、共に就職活動に取り組むが、少しずつ気持ちがすれ違っていく。2015年から2019年を一緒に過ごした二人の眩しくて切ないラブストーリー。 名刺代わりの文庫映画の半券栞 2015年冬、はじめて出会った夜、終電を逃し、居酒屋に流れ着いた麦と絹。楽しく飲む中、二人はそれぞれのリュックから読みかけの文庫を差し出します。麦は穂村弘、絹は長嶋有の文庫。お互いのを見て、どちらの作家もほとんど読んでいるという二人は、好きな作家の話に花を咲かせます。絹が「全然普通ですよ」と言い

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    nstrkd 2021/04/07
  • 「ここじゃない世界に行きたかった」塩谷舞さん ミニマルで偏愛。周りに流されないインフルエンサーの働き方|好書好日

    文:篠原諄也 写真:篠塚ようこ 塩谷舞(しおたに・まい) 文筆家。1988年大阪・千里生まれ。ニューヨーク、ニュージャージーを拠点に執筆活動を行う。2009年、大学時代にアートマガジン『SHAKE ART! 』を創刊。2012年にCINRA入社、WEBディレクター・PRを経て、2015年に独立。 会社員時代より、WEBメディアの執筆、企業の広告企画、SNSマーケティングに多く関わり、「バズライター」の異名をとる。 2017年、オピニオンメディアmilieuを立ち上げ、自身の執筆活動を格化。 Twitter Instagram 会社員時代に感じた違和感が原点 ――新著にはユニークなお仕事との向き合い方が書かれています。例えば「ミニマルに働く」。仕事上のいろいろな無駄を削ぎ落として、心や身体を大切にすることを意識しているそうですね。 私はアルバイトをしても、会社勤めをしても、優秀な従業員では

    「ここじゃない世界に行きたかった」塩谷舞さん ミニマルで偏愛。周りに流されないインフルエンサーの働き方|好書好日
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    nstrkd 2021/04/05
  • ゲイ男性との「恋愛感情抜きの結婚」を綴った能町みね子さん 結婚という概念をぶち壊したい|好書好日

    文:小沼理、写真:松嶋愛 能町みね子(のうまち・みねこ) 1979年生まれ。2006年にイラストエッセイ『オカマだけどOLやってます。』(竹書房)でデビュー。著書に『お家賃ですけど』(文春文庫)、『ときめかない日記』(幻冬舎文庫)、『私以外みんな不潔』(幻冬舎)など。執筆活動に加え、『久保みねヒャダこじらせナイト』(フジテレビ)、『すっぴん!』(NHKラジオ第一)水曜日パーソナリティーなど、テレビやラジオでも活躍している。 昔から恋愛がピンとこなかった ——『結婚の奴』では、ゲイライターのサムソン高橋さんとの「恋愛感情抜きの結婚」について綴っています。能町さんがこの結婚を思い立った経緯を教えてください。 もともと昔から恋愛がピンとこなかったんですよ。だから誰かと恋をして結婚をするのは自分にはないなと思っていたんですけど、数年前に突然「恋愛をすっ飛ばして結婚したい」という気持ちが湧き上がって

    ゲイ男性との「恋愛感情抜きの結婚」を綴った能町みね子さん 結婚という概念をぶち壊したい|好書好日
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    nstrkd 2021/03/23
  • 精神科医療従事者のための情報誌「精神看護」 切なる声拾い、本質から考える|好書好日

    「精神看護」は、精神科医療従事者のための総合情報誌。 ひと昔前まで精神科医療というと患者に対し高圧的で非人道的なものという印象を持っていたが、そんな負のイメージは誌からはもはや感じられない。むしろ患者を理解しようとする医療従事者の切なる声が聞こえてくるようだ。 ある記事のなかで《精神科では、当事者の人たちの知恵として、医療者の前では当のことを言わないということがよく言われています》と、さらっと書かれていて驚いた。なぜ当のことを言わないのかというと、言えば治療という「標準化の権力」が入り込んでくるということを当事者が直感としてわかっているからだそうだ。標準的な治療よりも「安心して病気が出せる」ことが、結果的に回復に寄与する場合もあるらしい。 さらに最新号では「生活保護」に関連した特集が組まれているのだが、そのなかの匿名の寄稿記事にも固定観念を覆された。 その記事には、寄稿者がはじめて生

    精神科医療従事者のための情報誌「精神看護」 切なる声拾い、本質から考える|好書好日
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    nstrkd 2021/03/16
  • 大学の外に広がる韓国文学 多彩な筆者49人による韓国/K文学の入口|じんぶん堂

    記事:明石書店 『韓国文学を旅する60章』(明石書店) 書籍情報はこちら 書の最大の特徴は、何といってもヴァラエティに富んだ執筆者の陣容である 「はじめに」で書いたとおり、書の執筆者49名の顔ぶれはじつに多様である。韓国文学の研究者だけでなく、日文学、比較文学、そしてテレビの討論番組でお見掛けする国際関係研究者の権容奭氏までいる。寡聞にして氏が韓国現代文学にも詳しいことを知らなかった私は、その造詣の深さに驚いた。 これだけの執筆陣をそろえることができたのは、3人の編著者(波田野節子・斎藤真理子・きむふな)が知恵と人脈を出し合ったおかげだとひそかに自負している。 韓国文学学科のない大学 しかし、韓国文学研究者である私にとって、この執筆陣の多様さの背後には、喜んでばかりいられないある事情がひそんでいる。 これまで、明石書店ではエリア・スタディーズの文学編として『イギリス文学を旅する60章

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    nstrkd 2020/12/23
  • 社会に欠かせない仕事と、役に立たない仕事 「仕事」の意味を考える3冊 紀伊國屋書店員さんおすすめの本|じんぶん堂

    記事:じんぶん堂企画室 書籍情報はこちら 「ブルシット・ジョブ」 とは? 人間の尊厳を搾り取る仕事はなぜ生まれる? まずは、今夏遂に邦訳された、人類学者デヴィッド・グレーバーの世界的話題の書『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』(岩波書店)です。誰の役にも立たない、いや人も周囲も蝕んで有害でさえあるのに、けっこう悪くはない報酬が発生するらしい、そんな仕事があるのか? かつての社会主義国ならともかく、資主義の世界でそんなムダが許されるわけないのでは? いや、現代の政治経済体制そのものですけどね、というスキャンダラスなです。 書を読む前は、実のところ、身近な世界ではどこでも「人手不足」にあえいでいるのに、そんな仕事当にあるのか? と半信半疑でいたのですが、自分の仕事が「ブルシット」だと訴える人々のコメントの数々がまさにカフカ的で、現代の寓話としか言えない気持ちになってき

    社会に欠かせない仕事と、役に立たない仕事 「仕事」の意味を考える3冊 紀伊國屋書店員さんおすすめの本|じんぶん堂
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    nstrkd 2020/12/23
  • 「生活と結びついた言葉で語る沖縄の現実」 上間陽子『裸足で逃げる』『海をあげる』編集者インタビュー/上|じんぶん堂

    記事:筑摩書房 書籍情報はこちら 初めての印象は「すごいものを聞いた」 上間さんと初めてお会いしたのは、前の職場で「atプラス」という雑誌をやっていたときです。岸政彦さんに責任編集をお願いして、生活史の特集号をつくったんですね。寄稿いただく方たちとの顔合わせも兼ねて大阪で研究会をしたんですが、そのときに上間さんは完成原稿に近いものを持ってきました。「キャバ嬢になること」っていう、『裸足で逃げる』の頭の原稿です。いま思うとそれに打たれたような気がします。 ――文章の力に圧倒されたんでしょうか 最初は耳だったんですよね。上間さんがその原稿を朗読されて。ひとをいたわるような声というか、とってもいい声で。「すごいものを聞いた」と思いました。『裸足で逃げる』も『海をあげる』も、「聞く」というのがすごく大事なモチーフだと思います。僕の最初の印象も「聞いた、聞いてしまった」というものでした。 語りをなる

    「生活と結びついた言葉で語る沖縄の現実」 上間陽子『裸足で逃げる』『海をあげる』編集者インタビュー/上|じんぶん堂
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    nstrkd 2020/12/03
  • 現代に差しのべられた言葉の橋 ハンセン病と水俣をつなぐもの|じんぶん堂

    記事:世界思想社 長島愛生園にて、船で島を去る面会人を見送る入所者(所蔵:国立ハンセン病資料館 撮影:趙根在) 書籍情報はこちら するするとページをめくりたくなる衝動を抑え、一文ごとに、その指す意味を確認するような心持ちで読み進めた。 言葉や表現は、著者に選び抜かれて、そこにその形にある。そんな当たり前のことをあらためて思うのは、政治的効果という面からだけでは見えてこないハンセン病者の実践の意味を、正確にとらえ、著そうとする著者の意思が端々に感じられるからかもしれない。それはつまり、彼らが「何を実現しようとしていたのか」を見ようとする意思だ。 現在、療養所の入所者のほとんどは、ハンセン病が治癒している。そのような回復者をふくめて書で「ハンセン病者」という語が用いられているのは、その罹患の経験が、一人の人生にあたえた影響の大きさをかんがみてのことだ。 療養所内で行われていた、患者による包帯

    現代に差しのべられた言葉の橋 ハンセン病と水俣をつなぐもの|じんぶん堂
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    nstrkd 2020/11/12
  • 「はたらく元気をもらった本」読者からのツイートを紹介! 本は時に心を前向きにしてくれる|好書好日

    名シーンに励まされる 『マスカレード・ホテル』(東野圭吾、集英社、2011年) 都内で起きた不可解な連続殺人事件。容疑者もターゲットも不明。残された暗号から判明したのは、次の犯行場所が一流ホテル・コルテシア東京ということのみ。若き刑事・新田浩介は、ホテルマンに化けて潜入捜査に就くことを命じられる。彼を教育するのは、女性フロントクラークの山岸尚美。次から次へと怪しげな客たちが訪れる中、二人は真相に辿り着けるのか!?(集英社ウェブサイトより) ・山岸尚美のホテルフロントクラークとしてのプロ意識は当時アパレルスタッフの私に通ずるものがありました。 「できません」を決して言わず、自分の経験や知恵をフル動員してよりお客様に上質なサービスを!というストイックさは「私も頑張らなきゃ!」と両頬を思わずぱちんと張りたくなる思いでした。お客様からの感謝の言葉を頂くシーンも多く「それそれ!これだから接客業はやめ

    「はたらく元気をもらった本」読者からのツイートを紹介! 本は時に心を前向きにしてくれる|好書好日
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    nstrkd 2020/11/11
  • 温又柔さん「魯肉飯のさえずり」インタビュー 「ふつう」とは何か、台湾と日本のはざまで問い続け |好書好日

    いびつな夫婦関係の先に 日とは何か、ふつうとは何か。それをずっと問い続けている。作家・温又柔(おんゆうじゅう)さんの新刊『魯肉飯(ロバプン)のさえずり』(中央公論新社)は、台湾と日の間で揺れるアイデンティティーというデビュー以来の主題に加え、ジェンダー問題に格的に向き合った自身初の長編だ。 主人公は、日人の父と台湾人の母を持ち、日で生まれ育った桃嘉(ももか)。大学卒業後、就職活動がうまくいかず恋人の聖司のプロポーズを受けることに。だが、聖司は桃嘉の内面を見ようとしないし、どうやら浮気もしているらしい。 二人のすれ違いを象徴するのが、桃嘉が作った魯肉飯をめぐるやりとりだ。香辛料・八角(はっかく)の独特の香りを前に、聖司は〈こういうの日人の口には合わないよ〉〈ふつうの料理のほうが俺は好きなんだよね〉。 「自分の常識と通念がぴったり一致している、日社会における特権的な人」として造形

    温又柔さん「魯肉飯のさえずり」インタビュー 「ふつう」とは何か、台湾と日本のはざまで問い続け |好書好日
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    nstrkd 2020/10/17
  • 「べてるの家の本」 汲めども尽きぬ泉のよう 医学書院・白石正明さん |好書好日

    今から20年ほど前、精神科の雑誌をつくるように会社から言われた。情報収集をしていると、「北海道にえらく儲(もう)けている精神科の作業所がある」といううわさが耳に入ってきた。それが浦河(うらかわ)べてるの家だった。 幻覚や妄想を皆の前で発表するのが売り物の「べてるまつり」には、毎年多くの観光客が北海道の過疎の町に集まるらしい。 そんなキワモノ感に惹(ひ)かれて浦河に行ってみたら、ひどく動揺させられた。簡単に言えば、そんなはずじゃなかったのに、感動してしまったのである。 『べてるの家の』は、そのメンバーたちの暮らしが記された最初のだ。自衛隊の制服を着て道路を匍匐(ほふく)前進したり、家の中で斧(おの)を振り回したり、大変な騒ぎである。そのなかに、ソーシャルワーカー向谷地生良(むかいやちいくよし)さんのこんな趣旨の言葉があった。「彼らはいつも『自立』と『社会復帰』という十字架を背負わされてい

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    nstrkd 2020/09/23
  • 「分解者たち」書評 多様な人々の共生に地域耕す力|好書好日

    分解者たち 見沼田んぼのほとりを生きる [著]猪瀬浩平、[写真]森田友希 障がいのある兄を持つ1978年生まれの著者は、埼玉の見沼田んぼの福祉農園に一家で関わる中で育った。彼は自らの土地感覚を踏まえつつ、首都圏開発の周縁に位置し、下水処理施設やごみ焼却場、朝鮮学校といったものが集められてきた見沼田んぼと周辺地域の歴史を掘り起こし、その意味を咀嚼していく。タイトルにもある「分解者たち」というキーワードが表すように、居場所のない、見向きもされないものたちが、ダンゴムシやミミズが土を豊かにするように、少しずつ地域を生きやすい場所に変えてきたその軌跡は、静かに力強い。 76年越谷市役所の職員から起こった、障がい者との共生を目指す運動は、「わらじの会」となり現在まで継続しているが、その初期の過程ではそれまで家の一室に閉じ込められてきた障がい者たちの「過去」が見いだされた。「寒いとき綿くりやってたんだ

    「分解者たち」書評 多様な人々の共生に地域耕す力|好書好日
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    nstrkd 2020/09/17
  • 「産業革命は黒人奴隷たちの血と汗の結晶である」 歴史学の常識を覆した研究者とは 川北稔さんが解説|じんぶん堂

    記事:筑摩書房 iStock.com/vivalapenler 書籍情報はこちら 「周辺」から世界の歴史を見る 植民地など、「周辺」とされる地域から世界の歴史をみようとする立場は、いわゆる世界システム論をはじめとして、いまではそれほど珍しくはない。そうした見方は、学問的にも市民権を得ているといえる。しかし、ほんの半世紀まえには、そうした立場は、まともな学問とはみられないものでもあった。先頭を切って、この困難な局面を切り開いたひとりが、書の著者エリック・ウィリアムズである。 トリニダード・トバゴの郵便局員の息子として生まれたウィリアムズは、秀才の誉れ高く、周りの期待を背負って、宗主国イギリスのオックスフォード大学に送りこまれた。古典学を専攻した彼は、抜群の成績で卒業したものの、当時のイギリスには─―というより、日をふくむ世界には─―、西洋文明の根源にかかわる古典学、つまりギリシア語やラテ

    「産業革命は黒人奴隷たちの血と汗の結晶である」 歴史学の常識を覆した研究者とは 川北稔さんが解説|じんぶん堂
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    nstrkd 2020/09/10
  • “すべての女性を応援する本屋”でカリスマ書店員が向き合う「現代と女性」:HMV&BOOKS日比谷コテージ|じんぶん堂

    記事:じんぶん堂企画室 HMV &BOOKS HIBIYA COTTAGE(日比谷コテージ)の店長、花田菜々子さん 書籍情報はこちら 「自分の人生のプロデューサーは常に自分。でも主役を誰にするかは自分で決めていい」 東京・日比谷にあるHMV &BOOKS HIBIYA COTTAGE(日比谷コテージ)の店長、花田菜々子さんは語りかける。 2018年3月にオープンした日比谷コテージは、“すべての女性を応援する”、まさに女性のための屋。近隣には映画館のほか、帝国劇場や東京宝塚劇場などがあり、熱心な演劇ファンの女性たちも足を運ぶ。 ベストセラー『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうなをすすめまくった1年間のこと』(河出文庫)の著者でもある花田さんは、を通じて店を訪れる女性とどう向き合おうとしているのか。人生を変えた一冊、いま読みたい人文書の紹介と合わせて話を聞いた。 まった

    “すべての女性を応援する本屋”でカリスマ書店員が向き合う「現代と女性」:HMV&BOOKS日比谷コテージ|じんぶん堂
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    nstrkd 2020/08/25
  • 「あいまいな会話はなぜ成立するのか」書評 歩み寄り推論 「ほどほど」の妙|好書好日

    あいまいな会話はなぜ成立するのか (岩波科学ライブラリー) 著者:時 真吾 出版社:岩波書店 ジャンル:自然科学・科学史 あいまいな会話はなぜ成立するのか [著]時真吾 リモートでの取材や対談収録が増えたが、慣れないし、慣れたくない。音声や映像が一秒ズレるだけで多くの情報が失われる。相手がどのタイミングでうなずいたのかが正確に読み取れないだけでコミュニケーションに難が生じてしまう。 私たちは日々、双方から歩み寄るようにして、間接的な会話を理解し合う。 コーヒー飲む?」 夫「明日ね、出張で朝が早いんだ。」 このやりとりには、イエスもノーも示されていない。だが、「コーヒーは飲まない」という「含意」はある。それを互いに一瞬で理解する。男性が、恋人と行くはずだったチケットを、後輩の女性に「ライブのチケットが2枚あるんだけど」とゆずろうとする。急用が理由なのだが、女性はデートに誘われているの

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    nstrkd 2020/08/22
  • 荒井良二「こどもたちは まっている」 世界に繊細に反応し続けるこども|好書好日

    こどもたちはまっている。絵の中で。夏を雨あがりをラクダを。こどもたちとは誰だろう。一度、こどもだったことのある大人は「自分だ」と思う。自分の過去の姿だと。それからどこかで「世界だ」とも思う。世界と自分の境界が曖昧(あいまい)であった頃の自分を、どこまでも思い出してしまうから。 ラクダを待ったことはないが、ラクダを待つこどもたちのことは想像できる。幼い頃の自分と、その子たちは繫(つな)がっていると感じる。こどもたちとは、世界そのもの。そう答えずにはいられない。 季節も海も向日葵(ひまわり)も、当はそれ単体で存在するのではなく、「私」の視界に入る時、そこには「それらに気づく私」が存在している。世界に反応すること、驚くことが、感情の芯にあった頃。こども、というのは、世界に繊細に反応し続け、それそのものが「自分」の思いとして、信じられた時期のこと。だから世界の鮮やかさや驚き全てが、こどもたちを

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    nstrkd 2020/08/15
  • 最果タヒさんの絵本「ここは」 ここは、ぼくのまんなかです——世界と自分を発見する瞬間|好書好日

    文:澤田聡子、写真:河出書房新社提供 最果タヒ(さいはて・たひ)詩人 1986年生まれ。2006年、第44回現代詩手帖賞を受賞。07年に刊行した第一詩集『グッドモーニング』(思潮社/新潮社)で第13回中原中也賞受賞。著作に、第33回現代詩花椿賞を受賞した詩集『死んでしまう系のぼくらに』(リトルモア)、小説『十代に共感する奴はみんな嘘つき』(文藝春秋)、エッセイ集『きみの言い訳は最高の芸術』(河出書房新社)、清川あさみとの共著『千年後の百人一首』(リトルモア)など。 公式サイト 最果タヒ.jp 「世界が更新されるような」視点を ——『ここは』は最果さん初の絵ですね。昔から絵を作りたいという思いはあったのでしょうか。 子どものころから絵が好きで、4歳くらいのころ「ゾウとアリの友情のおはなし」を自分で考えたこともあります。でも、絵が好きだからこそ、「作ってみよう」となかなか思えませんでし

    最果タヒさんの絵本「ここは」 ここは、ぼくのまんなかです——世界と自分を発見する瞬間|好書好日
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    nstrkd 2020/08/05
  • 沖縄を語る、その前に 社会学者・打越正行さん寄稿|好書好日

    打越正行(うちこし・まさゆき) 1979年生まれ。社会理論・動態研究所研究員、沖縄国際大学南島文化研究所研究支援助手。『ヤンキーと地元』は初めての単著。共著に『最強の社会調査入門』。 彼・彼女らの人生や生活、葛藤ごと理解して 私は広島で生まれ育ち、現在沖縄在住の社会学者である。10年以上にわたり、沖縄の暴走族、ヤンキーの若者への実地調査をすすめ、その記録を『ヤンキーと地元』(筑摩書房)というにまとめた。このを書いた目的は、沖縄社会を確かに生きている人びとのことを土の人に伝えることだ。伝える言葉や視点を磨くために、私は一緒に遊んだり働いたり、時にはパシリとなって調査をすすめた。それによって、彼・彼女らの生活の厳しさ、その現実を懸命に生きていること、そこに沖縄戦や「復帰」を経験した沖縄固有の過酷さがあり、固有の生活の形が生まれることを書き連ねた。 のなかで、ヤンキーの若者の多くが働く地

    沖縄を語る、その前に 社会学者・打越正行さん寄稿|好書好日
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    nstrkd 2020/07/27
  • 「コロナ禍読書日記」 人を決めつけずに社会を作る 作家・星野智幸さん|好書好日

    麺類日料理「美々卯」京橋店の前に掲げられた「閉店のお知らせ」=5月22日、東京都中央区 私はゾンビ映画を好きなのだけど、ゾンビ映画の世界の原則は、「怖いのはゾンビより人間」である。ゾンビによって不安と恐怖に駆られた人間たちが、一致団結してゾンビ禍に立ち向かうのではなく、互いに醜悪ないがみあいを展開するのだ。 新型コロナウイルスが猛威を振るう世を生きながら私は、まことに怖いのはウイルスより人間だと痛感させられている。 不安と自粛警察 この状況で私が無性に読みたくなったのが、チョン・セラン『フィフティ・ピープル』。ソウル近郊の街を舞台に、約五十人の人生の一コマを描く。 五十人それぞれが視点人物となった一編一編はごく短いが、人物は互いに連関しあい、今主人公だった者が他の人物の物語では脇役となる。そして、立場によって同じ出来事が違って見えてくる。誰が一番正しいといった正解はなく、どんな困った行動

    「コロナ禍読書日記」 人を決めつけずに社会を作る 作家・星野智幸さん|好書好日
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    nstrkd 2020/06/12
  • 『WIRED』日本版前編集長・若林恵氏がイチ押しする『文化人類学の思考法』|じんぶん堂

    記事:世界思想社 『文化人類学の思考法』(世界思想社) 書籍情報はこちら 考えるって、めんどうくさい。限られた人生、細かいことは気にせず、ぼぉっと気楽に生きていたい。学問を仕事にしていても、ときどきそう思うことがある。 毎日、テレビやインターネットから、たくさんの情報が降り注いでくる。あきれてしまう報道も多い。なんでそうなるんだ、と怒りが込み上げてくる。そんなとき、どうすれば世の中が少しはましになるのか考えなければ、という気になる。でも同時に、考えてもしかたない、何も変わらない、聞かなかったことにしよう、と誘惑する声も聞こえてくる。 考えるためには、時間の余裕が必要だ。気力や体力もいる。でも、それだけではない。なにより、筋道をたてて思考するための「方法」がいる。うんうんとひとりで頭をひねりまわしても、考えは深まらない。 考えるために役立つ道具箱をつくりたい。しかも、文化人類学というユニーク

    『WIRED』日本版前編集長・若林恵氏がイチ押しする『文化人類学の思考法』|じんぶん堂
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    nstrkd 2020/05/24