イラスト:岩井勇気(ハライチ) 4年前、僕は30歳になった時に初めて一人暮らしを始めた。一人暮らしを始めるにしては少し遅いと思われる。しかし、初めての一人暮らしにはそれなりにワクワクした。お風呂に入る時間も決まっていなければ、何時に寝てもいい。食パンにマーガリンをどれだけ塗ろうが文句を言われないし、ベッドの上でアイスを食べても怒られない。アイスを布団にこぼしてカバーを汚してしまっても自分で洗えば済む話だ。一人暮らしの家という国は、良くも悪くも無秩序だった。 しばらく無秩序を楽しんでいたのだが、徐々に新鮮さは薄れ、始めたての高揚感の魔法は、4年も経てば12時をとうに過ぎて効き目を失っていた。そして、冷静になって自分の一人暮らしを思い返してみると、僕が求めていた一人暮らしは、どこかこうじゃなかったような気がした。 この違和感の正体をなかなか掴めずにいたのだが、最近分かったのである。恐らく今の一
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