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ブックマーク / www.mieko.jp (4)

  • 川上未映子

    10年前に、吉田アミさんと開催したイベントのゲストに来ていただいたのが雨宮さんとの出会い。当時わたしは音楽をやっていて、詩を書いていたけれどまだ小説は書いていなくて、30歳になるかならないかの頃だった。 薄暗い会場で誰が誰かわからないのに、客席の後ろのほうでまあるく浮かびあがるきれいな女の人がいた。座席って暗いし、当日も長丁場だったし、みんなそれぞれリラックスできる姿勢でゆるゆると座っているものだけど、黒い服を着てショートボブの髪型をしたその女の人はひとりだけ異様なほどに背筋がぴんと伸びていて、ほんとうにぴくりとも動かないで、まっすぐ舞台のほうを見つめていた。それが今でも目に焼きついている。登壇されたあとで、それが雨宮さんだとわかった。 それから、ときどきメールをするようになって、たまに電話をするようになった。当時も今も、わたしには電話して話をするような友だちがほとんどいないから、最初に電

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    nstrkd 2016/11/20
  • 川上未映子

    SWITCHインタビュー・達人達、新海誠さんとの対談をたくさんの方に観ていただけたようでうれしかったです。わたしはばたばたとしていて未見なので対話のどこがどんなふうに使われたのかわからないのだけれど、『いい雲はどのようにして生まれるか』、『ここではない、もうひとつの世界が存在しているという実感』のお話がとくに印象深くて、でもどっちもあんまり時間がなくて、もっとお話を伺いたかったんだけれど……。 映画であれ小説であれ写真であれ何であれ、優れた作品には必ずフィクションとしての強度が最大限に発揮される、その作品に固有の瞬間がある。『君の名は。』には、見終わったあとに「もしかしたら、自分のこの現実の人生にも、あの映画の中で起きていたようなことが、当は起きているのかもしれない」と思わせる不安と恍惚の手触りがあるんですよね。 つまり、今、自分が誰かといるとして、あるいは誰かといないとして、その誰かと

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    nstrkd 2016/10/02
  • 川上未映子

    妊娠していたのはもうまるまる二年前のことになるけれど、ときどきぼんやり思いだすことがある。それはわけもなくやってくる安堵感というか、茫洋感というか、そういうような感覚。人によっては妊娠初期からそういうのを感じる人、あるいはまったく感じない人ももちろんいるみたいだけれど、わたしの場合は、臨月のころだった。体やホルモンの変化のせいで、うまく頭が働かなくなって、なにもかもをだんだん束ねられなくなってゆく、あの感じ。思考じたいが、どんどんだるーく、にぶーくなっていってゆく、あの頃の感覚を、ときどき思いだすんですよね。 子どものころ、おばあちゃんとかおじいちゃん──そう、もう歩くのもゆっくりゆっくりで、話しかけてもこちらの言葉がちゃんと伝わってるかどうかもちょっとわからないような、そんなおばあちゃんやおじいちゃんを見るたびに、みんな、毎日が、こわくないのだろうかといつも不安に思っていた。 正確な年齢

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    nstrkd 2014/07/17
  • 川上未映子

    『夏物語』の英訳版『Breasts and Eggs』を 愛読していただいているナタリー・ポートマンさんが、 ぜひインタビューを!ということで、お話しました。 インスタグラムに、映像をアップしています。 はじめに、新型コロナウイルス感染症に罹患された皆様、および関係者の皆様にお見舞い申し上げます。 また、医療従事者をはじめ最前線でご尽力されている皆様に、深謝いたします。 目に見えない強い不安と爽やかな初夏の光が入り混じり、ふとそれらの見分けがつかなくなるような奇妙な日々が続いていますが、事態の一日も早い終息を願うとともに、皆様におかれましてはご自愛専一のほど、心よりお祈り申し上げます。 わたしの近況を少しお話させていただくと、当なら、このたび英訳が刊行された 「Breasts and Eggs」にまつわるあれこれでアメリカにいる予定だったのですが、すべて来年に持ち越しとなってしまいました

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    nstrkd 2014/06/14
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