【サブカルちゃんねる】「僕のエア」を刊行した作家の滝本竜彦氏。文章を書けない状況をようやく抜けだし、新作の執筆にも意欲を見せる(谷口隆一撮影) 滝本竜彦(たきもと・たつひこ、32)が帰ってきた。「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」と「NHKにようこそ!」の2本の小説で、人生に投げやりだった少年が、不思議な事件や新しい出会いをきっかけに、変わろうとあがく姿を活写。若者のカリスマ的な存在となりながら、執筆活動から遠ざかり、復活を待望されていた。9月に刊行された「僕のエア」(文芸春秋刊)は、2004年に雑誌連載した小説を、6年越しに単行本化したもの。さまざまな葛藤(かっとう)を乗り越え刊行に踏み切った経緯は、個人としての本格的な復活を予感させるだけでなく、未来が見えない現状に悩む人たちにも、進むべき道を示して救いをもたらす。 仕事にも友人関係にも行きづまり、好意を寄せていた女性にも去られ、