■思想の担い手は「モテないオタク男」? なんなんだ、この本。真剣なのか冗談なのか、ちゃんとした哲学入門書なのか、近代の恋愛至上主義を憎悪する著者の妄想なのか、さっぱりわからない。だいたい「モテないオタク男」を「喪男(モダン)」と呼べと言われ、「喪男が人生や現実を考える、それが哲学なのだ」と言われても、「はい、そうですか」というわけにはいかない。しかも、その思い込みひとつですべての哲学の歴史を語り尽くそうというのだから、空恐ろしい。「マルクスの哲学もまた、喪男のルサンチマンから生まれています。ですから多くの喪男に支持されたのです」などと言われたら、革命家はみんな泣いちゃうんじゃないか。 でも、この著者の暴走は一度、始まったら止まらない。おかまいなしにゲームやアニメなどの固有名詞を乱発しながら、ブッダにキリスト、ギリシア哲学からドイツ思想、精神分析にポストモダンまでが一気に語られる。「ユダヤ教