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ブックマーク / number.bunshun.jp (65)

  • 谷間の世代・石川直宏が今振り返る、黄金世代との比較、アテネ、ケガ。(浅田真樹)

    「谷間の世代」屈指のドリブラーだった石川直宏。現在はFC東京の「クラブコミュニケーター」の役職を務めている。 サッカー界で「谷間の世代」といえば、アテネ五輪に22、23歳で出場した、1981年(および1982年)生まれを指す。 10代のころから、すぐ上の「黄金世代」と比較され、低評価を受けてきた世代だ。だが、そんな評判を覆すように、彼らのなかからはJ1リーグの得点王や、所属クラブのレジェンド的存在が多数生まれている。Jリーグでの活躍ぶりに関する限り、実は「黄金世代」を上回るほどの実績を上げてきたのだ。 当事者である彼ら自身はそんな世間の評価をどう受け止め、どう成長していったのか。今年38歳となり、現役を続ける者が少なくなってきたいま、彼らの証言から「谷間の世代の真実」を探る。 取材の約束は、午前10時。現役選手なら、まずありえない時間である。 東京・小平のFC東京クラブハウスに、石川直宏は

    谷間の世代・石川直宏が今振り返る、黄金世代との比較、アテネ、ケガ。(浅田真樹)
  • J3降格危機の新潟に現れた救世主。梶山陽平はピッチ内外で“つなぐ”。(塚越始)

    新潟が梶山陽平を獲得した理由は「流れを変えるため」だという。だとすれば、彼以上の適任はいないかもしれない。 間もなくアルビレックス新潟のチームバスが出発しようとしていたとき、梶山陽平がNACK5スタジアムのロッカールームから出てきた。その右ヒザには、透明のテープで氷がしっかりと巻かれていた。 「久々に90分プレーできました。ここからです。コンディションもプレーの質も上がっていくはずですから」 J2リーグ29節の大宮アルディージャ戦、チームは5連敗目を喫し、新天地で初めて先発フル出場を果たした梶山は納得などしていなかった。ただ、何が新潟の課題で、どうすべきか、その90分間で全体像を把握したようだった。 「ビルドアップの時には、最終ラインのパス回しなど、もう少し簡単にボールを素早く動かすことをやっていかないと。サイドバックがフリーでボールを持っても、パスコースがなくなっている。早くパス交換して

    J3降格危機の新潟に現れた救世主。梶山陽平はピッチ内外で“つなぐ”。(塚越始)
  • 甲子園決勝は本当に明日でいいのか。金足農業・吉田輝星の投球数が……。(氏原英明)

    過去に何度も見た光景だった。 表現としては“末恐ろしいピッチャー”だ。 秋田県大会からすべてのイニングを1人で投げぬいている金足農のエース・吉田輝星がまた、快投を見せた。 準決勝の日大三戦では、2点を先行すると、そのアドバンテージを最大限に生かすピッチングを展開。ピンチに陥ってもしっかりと間を取り、走者のスタートを一歩ずつ遅らせ、打者に対しては変化球を低めにコントロールして、ギアを上げたストレートで強力打線を黙らせた。 5試合連続完投勝利は見事というしかない。 限界を超えていてもおかしくない心身の状態でありながら、それでも快投をみせる。 しかし、吉田のような投手をみたのは過去に1度や2度ではない。 「投げないという選択肢はなかった」 2006年の斎藤佑樹(早稲田実)しかり、2008年の戸狩聡希(常葉菊川)、2010年の島袋洋奨(興南)、2013年の高橋光成(前橋育英)……。筆者が取材現場に

    甲子園決勝は本当に明日でいいのか。金足農業・吉田輝星の投球数が……。(氏原英明)
    nununi
    nununi 2018/08/21
    良い悪いでいえば「良いわけない」なんだろうけど、1日延泊するだけでコスト爆増するからなあ。高野連の収支的にはバックアップできないのだろうか。
  • 箱根が途切れ、1年生主将が矢面に。中央大学の報告会は酷な時間だった。(生島淳)

    不幸は蜜の味がする――。 箱根駅伝の予選会、レースが終わって発表を待つ間、中央大学の集合場所にはマスコミがわんさか押しかけていた。私も含めて。 予選を通過できたかどうかは微妙なところで、あたりには重苦しいムードが漂っていた。そして、結果発表。 10位は日大。この瞬間、中大の箱根駅伝連続出場記録は途切れた。関係者にとっては、つらい瞬間だった。 いまは予選会が終わると、監督や選手たちが関係者に挨拶をするのが習わしになっている。戦に進めなかった大学の報告会は重たい。中大は1年生主将、舟津彰馬(福岡大附属大濠高)が挨拶に立った。 舟津は7月から4年生に替わって、箱根駅伝までという条件付きで主将になった。初夏、学年ごとにまとめた改革案が藤原正和新監督に認められたからだ。 その舟津が、関係者を前に最初は淡々と話し始めた。 「11位という当にあと一歩の順位で、当に申し訳ありませんでした」 ここで、

    箱根が途切れ、1年生主将が矢面に。中央大学の報告会は酷な時間だった。(生島淳)
  • 石川直宏が愛される最高の組合せ。柔和さと、リミッターを越える感情。(西川結城)

    石川直宏ほど、バンディエラという言葉が似合う選手はJリーグを見渡してもそうはいない。存在そのものがクラブの宝なのだ。 たくさんの人たちから、思いを託される男である。 FC東京に関わる人々にとって、石川直宏という選手は特別な存在だ。サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で14年からFC東京担当を務めてきて、今年で3年目。直接、日々の石川の姿を目にする中で、彼が愛される理由がわかってきた。 誰にでも分け隔てなく接する好感。雨の日も風の日も、練習場にかけつけたサポーターに対してファンサービスを行う実直さ。そして視線を合わせる誰に対しても、爽やかな笑顔を見せるのである。 それでいて、一度ピッチに立てば思い切り疾走し、相手ゴールに向かって行く迫力。柔和な素顔と、気持ちが前面に出るプレー。この最高のマッチングこそが、石川が愛される理由なのである。 石川の頭によぎった、引退の二文字。 その石川が昨年8月、3

    石川直宏が愛される最高の組合せ。柔和さと、リミッターを越える感情。(西川結城)
  • 野球の強豪は、吹奏楽の名門も多い!?完全ブラバン目線で見る選抜甲子園。(梅津有希子)

    昨年夏の甲子園も制している大阪桐蔭。野球部の名将が西谷浩一監督だとすると、全国大会常連の吹奏楽部を率いるのは梅田隆司総監督である。 天理(奈良)、大阪桐蔭(大阪)、常総学院(茨城)、愛工大名電(愛知)、春日部共栄(埼玉)、東海大四(北海道)……言わずと知れた甲子園の常連校だが、吹奏楽の世界でも強豪ということをご存じだろうか。 野球の名門で、実は吹奏楽も名門という学校は少なくない。アルプススタンドで彼らが奏でる音色は、まるでステージで吹いているかのような名演揃い。何気なく吹いているように聴こえる応援曲も、注目して聴いてみると、とてつもなくクオリティが高いのだ。 今センバツのブラバン応援の見どころで、筆者のイチオシは天理と大阪桐蔭。 古豪天理と、一大勢力を築いた新興校・大阪桐蔭。どちらも、全日吹奏楽コンクールに出場経験がある名門校だが、伝統を重んじる天理の応援に対し、大阪桐蔭はJ-POPや最

    野球の強豪は、吹奏楽の名門も多い!?完全ブラバン目線で見る選抜甲子園。(梅津有希子)
    nununi
    nununi 2016/04/25
    野球&吹奏楽名門校の応援、スタンドで聴いたことあるけど、音圧もすごくて痺れるんだよね。あれだけ聴きに予選見に行っちゃうことあった。
  • なぜ甲子園の応援歌は懐メロが多い?アルプス席の吹奏楽部を徹底検証!(梅津有希子)

    ピンクレディーが歌った『サウスポー』は1978年の大ヒット作。作詞は阿久悠、作曲が都倉俊一という名コンビによる。 なぜ甲子園の応援歌は懐メロが多いのか? 高校野球の鉄板応援歌といえば、昭和の歌謡曲にアニメの主題歌、少し前に流行ったJ-POPなど、昔懐かしいラインナップがずらりと並ぶ。パッと思いつくだけでも、『狙いうち』『サウスポー』『タッチ』『暴れん坊将軍』『必殺仕事人』『紅』『夏祭り』『さくらんぼ』『パラダイス銀河』『宇宙戦艦ヤマト』『ポパイ・ザ・セーラーマン』『ルパン三世』『海のトリトン』……といった具合で、今の高校生たちはまず知らない懐メロが見事に並ぶ。 しかも、長年の間、曲の顔ぶれがほとんど変わらない。これはいったいなぜなのだろうか。中高6年間吹奏楽部に所属していた経験から、理由を考察してみたいと思う。 吹奏楽部に無いのは、予算か練習時間なのか? まっ先に思ったのは、「吹奏楽部の予

    なぜ甲子園の応援歌は懐メロが多い?アルプス席の吹奏楽部を徹底検証!(梅津有希子)
    nununi
    nununi 2016/04/25
    「「先輩がホームランを打った曲」「決勝で負けた相手が吹いていたカッコいい曲」で打席に立ちたいのだ。」、、選曲が保守的な理由はシンプル。
  • 生まれ変わったFC東京の“正念場”。「万年中位」か、真の強豪となるか。(飯尾篤史)

    FC東京が正念場を迎えている。 そう言うと、J2降格の危機にでも瀕しているかのようだが、そんなことはない。それどころか第1ステージでは2位という好成績を収め、第2ステージでも4位につけている。年間順位は現在3位だから、このまま行けばチャンピオンシップへの出場権を獲得できる。 だからこそ、FC東京は迎えている。「万年中位」から卒業できるか、真の強豪クラブになれるかどうかの正念場を――。 「“このサッカー”でなんの結果も残せなかったら、何も残らないじゃないか、築いてきたものを失ってしまうんじゃないか、っていう危機感がある」 開幕してしばらく経った頃、そう明かしたのはベテランの羽生直剛だった。 FC東京はここ数年、内容に、スタイルに、「いかにして戦うか」にこだわってきた。 「自分たちも、観ている人たちも楽しめるかどうか」にこだわった城福浩監督は、ボールを保持し、主導権を握ってゲームを進める「ムー

    生まれ変わったFC東京の“正念場”。「万年中位」か、真の強豪となるか。(飯尾篤史)
  • 名クロッサー・佐藤由紀彦が解説する、FC東京・太田宏介のクロスの特殊性。 (二宮寿朗)

    いつもの「ビュッ」じゃない。 左サイドから放たれた意表を突くグラウンダーのボールはピッチをまるで意志を持っているかのように、ぽっかり空いていたスペースにスルスルと転がっていく。速すぎず、遅すぎずの絶妙なボールスピードと正確なボールコントロール。後ろから勢いよく走り込んできた東慶悟の右足にピタリと合わせて、先制点を呼び込む。 これは7月15日に行なわれたFC東京―アルビレックス新潟戦、太田宏介がアシストした前半9分の先制シーン。プレーの選択、駆け引き、クロスを放つタイミング、「絶妙」と「正確」……いずれもが揃わないと成立しないハイレベルなアシストだった。 「自分にとって特別なアシストだった」 太田にしかできないクロス。 太田にしかできない仕事。 「あのようなクロスは、練習ではあってもゲームのなかではなかなか出せなかった。今までとは違った種類を見せられたというか、自分にとって特別なアシストだっ

    名クロッサー・佐藤由紀彦が解説する、FC東京・太田宏介のクロスの特殊性。 (二宮寿朗)
  • FC東京-武藤嘉紀=シュート欠乏症!?もう、困ったときの“よっち”はいない。(松本宣昭)

    もう、困った時の“よっち”はいない。 今季、絶対的なエースとしてチーム最多の10ゴールを挙げ、ファーストステージ2位フィニッシュの立役者となった「よっち」こと武藤嘉紀は、ドイツへと旅立った。果たしてFC東京は、武藤抜きのセカンドステージで、どんな戦いを見せるのか。 「FC東京-武藤=シュート欠乏症」 残念ながらこれが、川崎Fとのセカンドステージ開幕戦で突きつけられた現実だ。FC東京のファーストステージでの1試合平均シュート数は、10.5。ところが、この試合でのシュート数は6。しかも、流れの中からはわずか2しか打てなかった。 「我々には前田(遼一)のシュートやCK、セットプレーなどのチャンスがあった。ただ、そこでフィニッシュの精度が足りなかった」 これは、試合後のマッシモ・フィッカデンティ監督の言葉だが、これが音のはずはない。なぜなら「チャンス」と呼べるものは、13分に相手のパスミス

    FC東京-武藤嘉紀=シュート欠乏症!?もう、困ったときの“よっち”はいない。(松本宣昭)
  • U-22の「練習の虫」が開花まで間近!中島翔哉の“得意パターン”発揮は?(佐藤俊)

    1日、U-22コスタリカ代表との親善試合に挑むU-22日本代表だが、エースとしての活躍が期待されているのが、中島翔哉だ。 FC東京では1stステージ全17試合で2試合出場と出番に恵まれていなかったが、「僕のところでは活躍してくれると思っています」と、U-22日本代表の手倉森監督からは全幅の信頼を得ている。 実際、世代別代表での中島は2014年U-22選手権から10番を背負い、昨年9月リオ五輪代表の立ち上げとなるアジア大会でも中心選手として活躍。3月のリオ五輪1次予選では重要な2戦目のベトナム戦にスタメン出場を果たし、2ゴールを奪って勝利に貢献、1次予選突破の原動力になった。監督の求める戦術理解度、攻撃力、決定力、運動量ともに高く、チームにとって欠かせない存在になっているのだ。 中島「A代表の選手は判断とスピードが早い」 中島は164cm、64kgと体格的に恵まれているわけではない。だが、東

    U-22の「練習の虫」が開花まで間近!中島翔哉の“得意パターン”発揮は?(佐藤俊)
  • なぜ武藤嘉紀にボールが転がるのか。「持ってる」を演出する複数の要素。(飯尾篤史)

    右足の裏側にはテーピングがビッシリと貼られている。満身創痍、疲労困憊……。 それでも試合を決めてしまった。5月20日のナビスコカップ・ヴァンフォーレ甲府戦で、先制ゴールと決勝ゴールを奪ったFC東京の武藤嘉紀のことだ。 J1でマークしている8ゴールと合わせ、これで公式戦10点目。ブレイクした昨シーズンを上回る勢いだ。 FC東京のゲームを見ていると、まるで吸い寄せられるかのように、武藤のもとにボールが集まってくる。 ボールに愛される男――。 そんなベタなキャッチフレーズを付けたくなるほど、ボールが武藤の前に当によくこぼれてくる。それに、大事なところでよく決める。そんな印象が今シーズンは特に強い。 「チームメイトを信じ、自分を信じた結果です」 なぜ、ゴールを奪えるのか。武藤の答えはシンプルだ。信じ続けていれば、必ずボールは自分のもとにやって来るものなんです、と。 チャンスにボールが来なくても、

    なぜ武藤嘉紀にボールが転がるのか。「持ってる」を演出する複数の要素。(飯尾篤史)
  • 権田修一と榎本達也が話し合うこと。10歳差、2人のGKの不思議な関係性。(二宮寿朗)

    FC東京では2009年のデビュー戦以来ゴールマウスを守り、ロンドン五輪にも出場、A代表にも名前を連ねる権田修一。言葉の明快さにも定評がある、考えるGKである。 脂の乗ってきたFC東京の守護神・権田修一を、ベンチからじっと見つめる目がある。 26歳の日本代表より、年は10歳上。昨季限りで栃木SCと契約非更新となり、トライアウトを経てFC東京に呼ばれたベテランGK榎達也である。 1999年のワールドユース準優勝組で、2004年“最後のチャンピオンシップ”でPK戦を制して横浜F・マリノス優勝の立役者となった彼は、輝かしい実績を残しながらも、その後はいくつかのクラブを渡り歩いて苦労を重ねてきた。 ピッチ内外で妥協なく取り組む姿勢は昔からあい変わらずで、マリノス時代にはケガで入院した病室にサッカーの映像を大量に持ち込んで驚かれたエピソードを持つなど、どこまでも研究熱心な男だ。 サッカーに対する向き

    権田修一と榎本達也が話し合うこと。10歳差、2人のGKの不思議な関係性。(二宮寿朗)
  • 前田遼一が語った決断の裏側。「移籍という経験をしたかった」(寺野典子)

    15年間在籍したジュビロ磐田からこのオフ、FC東京へ移籍した前田遼一選手。 新シーズン開幕まで1週間を切った3月2日、小平の練習場で話を聞くことが出来た。 移籍の理由、そして新シーズンへの思いとは? ――昨夜(3月1日)放送されたテレビ番組で、マスコットと共に、踊っていましたよね。寡黙キャラを一新したのですか? 「ハハハハハ。友だちからもそういうメッセージがたくさん来たんですけれど、そういうわけじゃなくて。あのときは、達さん(GK榎達也)に乗せられて、先輩からのフリを断ることもできなくて、ちょっと乗っかっただけです。でもその反響が大きくて、僕も驚いてる。正直、そんなところで目立ってもしょうがないんですけれどね(笑)」 ――初めての移籍となったわけですが、新天地での毎日はいかがですか? 「最初のころはうまくいかなかったですね。簡単なトラップすらできなくなって。心配になりました(苦笑)」 ―

    前田遼一が語った決断の裏側。「移籍という経験をしたかった」(寺野典子)
  • 変わりたい、と願うFC東京の2人。前田遼一と平山相太が迎える正念場。(飯尾篤史)

    FC東京の練習着に身を包んだ前田遼一。リーグ戦137ゴールは中山雅史、マルキーニョス、佐藤寿人、三浦知良に続き5位。偉大なる先輩“ゴン”の157得点に手は届くか。 10代の頃からよく知る友人の変化を、FC東京の石川直宏は感じ取っていた。 「自分のことを黙々とこなすタイプで、マイペースなところは昔と変わらない。でも、十数年いたクラブを出るというのは相当な決意だと思うし、変わりたいっていう想いもどこかにあるんじゃないかって感じます」 石川が語るのは、今季からチームメイトになる新加入選手についてだ。やや穏やかだったストーブリーグの数少ない主役のひとり、元ジュビロ磐田のエースストライカー、前田遼一のことである。 東京の暁星高から磐田に加入したのが2000年だから、15年にわたってサックスブルーのユニホームをまとってきたことになる。 前田遼一の起伏に富んだサッカー人生。 '01年のステージ優勝や'0

    変わりたい、と願うFC東京の2人。前田遼一と平山相太が迎える正念場。(飯尾篤史)
  • 座右の銘は「自信と過信は紙一重」。太田宏介が三浦淳寛にもらった言葉。(二宮寿朗)

    太田宏介の自宅には、一枚のユニホームが飾られている。 横浜FCでプロのキャリアをスタートさせ、己の土台をつくった充実の3年間。ステップアップのために清水エスパルスへの移籍を決めてチームを離れる際に、尊敬する先輩・三浦淳寛からもらったものだ。 そのユニホームには三浦のサインとともに、メッセージが力強く書かれていた。 「自信と過信は紙一重。頑張れ」 いつしかこの言葉は、太田の座右の銘となる。 希少な左利きの左サイドバック。左足から繰り出される精度の高いキックを武器に、清水エスパルス、その後移籍したFC東京で不動の地位を築く。 そして今年10月には2010年1月のイエメン戦以来となるA代表復帰をついに果たし、あのブラジル相手に数少ないチャンスをつくったのが彼のクロスだった。ハビエル・アギーレ監督に強い印象を与えたに違いない。 自信にはなった。しかし過信にはならない。 自宅に戻れば、必ずユニホーム

    座右の銘は「自信と過信は紙一重」。太田宏介が三浦淳寛にもらった言葉。(二宮寿朗)
  • 森重真人がアンカー起用される理由。4-3-3の特性と、アギーレの“哲学”。(西川結城)

    新生アギーレジャパンは、4試合を終えて1勝1分2敗。 9月と10月の2度の招集で選手の顔ぶれは大きく変わり、ピッチに立つメンバーも毎試合異なる選手を起用している。 「アジアカップを戦うための、選考の場でもある」 ハビエル・アギーレ監督もそのブラジル戦後、あらためて今の時期をそう強調していた。 そんな中、一つだけ不変のモノがある。 4-3-3。彼はどの試合でも、必ずこの布陣を採用している。 実はこのシステム、これまで日人にはあまり馴染みのなかった形である。かつてのオランダサッカーの代名詞でもあり、またここ数年のバルセロナの活躍などで4-3-3というシステムを見る機会は増えたが、過去の日本代表監督でこの形を基ベースにチームをスタートさせた人はいない(2010年W杯の時、岡田武史元代表監督が大会直前で守備的な4-1-4-1を採用。4-3-3と酷似しているが、ここでは別物とする)。 4-3-3

    森重真人がアンカー起用される理由。4-3-3の特性と、アギーレの“哲学”。(西川結城)
  • 武藤嘉紀のドリブルはなぜ通用した?4日間で修正した「パワーとスピード」。(西川結城)

    倒されても、倒されても、また起き上がる。それでも武藤嘉紀がボールを持つ度に、相手DFは体のあらゆる場所を使い、強引にでも止めに来た。 「試合の途中で、相手選手同士の会話が聞こえてきたんです。『ファウルでもいいから』と」 10月18日、J1リーグ第28節。FC東京は、アウェイで大宮アルディージャと対戦していた。武藤は試合中、終始激しいマークに苦しみ続けた。 今や、完全に“時の選手”。 9月の日本代表デビュー時には、“現役慶應大プレーヤー”や“イケメンアタッカー”と注目を集め、そしてベネズエラ戦で代表初ゴールを奪ってみせると、報道の熱はさらに激化。試合や練習の合間を縫って、連日の取材攻勢を受けた。夏場以降、ほぼ休みなしに走り続けてきた武藤。疲労のピークは、今かもしれない。 各世代でも代表歴がない武藤は、国際舞台自体が初体験。 大宮戦の4日前、武藤はシンガポールのピッチに立っていた。目の前にいる

    武藤嘉紀のドリブルはなぜ通用した?4日間で修正した「パワーとスピード」。(西川結城)
  • J1通算300出場のFC東京・羽生直剛。全ての監督が愛した“目立たなさ”。(飯尾篤史)

    FC東京での今季初先発は第17節だったが、その後は完全にスタメンに定着した羽生直剛。代表に4人を送り込むFC東京でも、攻守にチームの中心的な役割を担っている。 鳥肌の立つようなスルーパスを通すわけでも、ドリブルで2人、3人と抜き去るわけでも、目の覚めるようなシュートを突き刺すわけでもない。つまり、決して目立つ存在ではない。しかし、目立たないというのは、彼にとって最大の賛辞かもしれない。 かつては爆発的なランニングと神出鬼没なポジショニングで相手チームをきりきり舞いさせたが、今のスタイルは、むしろその逆。無駄なプレーは限りなく省かれ、味方にとって、いてほしい所に当たり前のようにいる。 あまりにさり気ないから目立ちはしないが、当たり前のことを当たり前にこなすことの難しさを誰もが知っているから、チームメイトは「ニュウさんがいるから、攻守においてチームがスムーズに機能する」と賛辞を贈る。 10月5

    J1通算300出場のFC東京・羽生直剛。全ての監督が愛した“目立たなさ”。(飯尾篤史)
  • 森重真人がブラジルで得たいもの。メンバー発表直前に語った「今」。(二宮寿朗)

    「今がないと、次もない。もちろんW杯というのは(頭に)ありますけど、次の試合をしっかりとやっておかないと自分のなかでW杯なんてないし……今が一番、大切だと僕は常に思っているので」 W杯メンバー発表を2週間後に控えたゴールデンウイークの入り口、FC東京でキャプテンを務める森重真人は3日後の浦和レッズ戦だけを見据えていた。 現在、彼こそが、ザックジャパンを活性化させる一人になっている。 無風に近かったセンターバックのポジション争いが、ここに来てようやく激しさを増してきた。吉田麻也、今野泰幸のコンビがずっと定着してきたものの、直近2試合(ベルギー戦、ニュージーランド戦)は「第3のセンターバック」であった森重が先発を担っている。吉田にはケガ明けの不安、今野も自身のパフォーマンスについて苦悩の渦中にあるなかで、割って入っていこうとする森重の勢いがどうしても目につく。 そんな彼にひとときだけ「今」を置

    森重真人がブラジルで得たいもの。メンバー発表直前に語った「今」。(二宮寿朗)