ふるさと納税による全国1741市区町村の2020年度の「収支」を毎日新聞が集計したところ、東京都内の市区町村と全国の政令市を除いても、23%に当たる394自治体が赤字だった。地方創生を理念に掲げ、22年度で15年目を迎える制度だが、寄付が地方同士の奪い合いとなり、人気の返礼品を送る一部の自治体に集中して、幅広く行き渡っていない現状が浮かぶ。 ふるさと納税で応援したい自治体に寄付すると、所得税や居住自治体に納める住民税が軽減される。居住自治体には減収となる。
![検証・ふるさと納税:ふるさと納税、自治体2割超が赤字 上位20位、全寄付の2割占める | 毎日新聞](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/32c4fe0f0f5f7163344538f3ed56acee5dfec031/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn.mainichi.jp%2Fvol1%2F2021%2F12%2F16%2F20211216k0000m040295000p%2F0c10.jpg%3F2)
制度開始から11年が経ち、5000億円規模の市場に成長したふるさと納税。一方で、過熱する「返礼品」競争を受けて、総務省は今年6月、ついに法規制を余儀なくされ、改正地方税法施行で「返礼品は寄付額の3割以下の地場産品」と基準が設けられ、それを満たさない大阪府泉佐野市などは制度の対象から除外された。すると泉佐野市は国を訴え、来年1月に大阪高裁での判決を迎えるなど騒動が続いている。 こうした混乱が起きることを危惧し、警鐘を鳴らしてきた官僚がいた。この官僚がこの度、ノンフィクション作家の森功氏の取材に対し、ふるさと納税は税制として間違っていること、そのことを「制度の生みの親」を自任する菅義偉官房長官に直言したが聞き入れられなかったことなどを詳細に証言した。 取材に応じたのは、かつて総務省内で事務次官候補と見られていた平嶋彰英氏。「ふるさと納税」をさらに広めるための寄付控除の上限倍増や、確定申告を不要
「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた『ふるさと』に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」(総務省ポータルサイト) こうした問題意識をきっかけに、2008年から始まったふるさと納税。制度開始から10年が経ち、全国の自治体への寄付額は計2447億円となり、初めて2000億円の大台を超えた。 納税者は事実上、寄付金額から2000円(自己負担分)を差し引いた金額が所得税や住民税から控除され、税負担が減る。一方、寄付した先の自治体からは「返礼品」として地場の名産品などがもらえる。寄付を募りたいあまり、一部の自治体が地場産品とはいえない品物をそろえ、ネットショッピングの様相を呈していることを総務省は問題視している。 寄付金が集まり、潤う一方の自治体ばかりではない。特に、大都市の自治体は危機感を強めているのが実態だ。財政が健全で国から地方交付税を受けていない東京都
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