テクノロジーが進化し、世界中の人たちは密接につながりだした。人類には、太古からのナレッジだって十分に溜まっている。それでも世界情勢は安定せず、中東をめぐる問題は予断を許さない状況が続いている。 とりわけ深刻なのが、大量の難民が雪崩をうったようにヨーロッパへ流入し、深刻な社会問題を引き起こす可能性が高いということだ。驚くべきことに、このヨーロッパへ流入した難民の90%が犯罪組織に頼ってやってくるという。そして密入国を斡旋する業者たちの原資が、外国人の誘拐ビジネスで稼いた身代金であったというから話は穏やかではない。 本書は、そのデリケートさゆえにあまり報じられることのない誘拐ビジネスや人質交渉の舞台裏を起点に、グローバル化した世界経済の闇の部分を描き出した一冊だ。著者はテロ・ファイナンスを専門とする女性エコノミスト。犯罪ネットワークの全貌や歴史的な背景を知ることで、センセーショナルさだけに目を