社員が自発的に会社に貢献し、給料以上に働く光景は日本企業特有のものだとされてきた。しかし、社会学者の鈴木謙介氏は「最近ではアメリカのIT企業の日本企業化が著しい。『終身雇用』を除けば、その経営手法は日本企業のようだ」と指摘する。どういうことなのか――。 日本人が勤め先に忠誠を誓っていたワケ いまの若い世代には信じがたいことかもしれませんが、「終身雇用」と「年功序列」という日本の雇用システムが世界で注目を集めていた時期がありました。1979年に、アメリカの社会学者エズラ・ヴォーゲルが、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』という本でオイルショックのダメージを受けなかった日本企業の強さを分析しました。その強さの要因こそが、日本の雇用システムだったのです。 年功序列とは、先の保障があることにほかなりません。育児や教育、そして自身の老後のことをはじめ、人生は後になるほどコストがかかるため、それらに対する