異世界転生者、洞小路(ウロコウジ)香奈(カナ)。 転生した世界での彼女の名はカナンという。 カナンの一日は、今日も母親との長い挨拶で始まる。 「ウー、ウラッサッタ! サンパパラビヤ! フェフェイ!」 カナンが両手を上に挙げ、スキップしながら首を左右に傾ける。 「ジャンガニスカ、タヤレゲンナーヘ!」 母親は両手を下に向け、片足で立ってその場でターンする。 「「コウォー……」」 二人は呻き、揃って床に突っ伏した。 「トーイディー、ロメ」 「トーイディー、ハヤ」 立ち上がりつつ、互いに平手で頬を張る。 「「オンオン」」 背中合わせになり、上体を左右に揺らす。 この時、唇は鳥のように尖らせ、身体の揺れは左右とも三十度以内に留めなくてはならない。 「チェケロゼー エノガー」 「サンパパノクコ! フェガフェガ!」 振り返り、すぐに互いの目を見ないようにそっぽを向き、肩をぶつけながらすれ違う。 「アッタ
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