発足から10年経たない草創期の航空自衛隊に、師匠であるアメリカ空軍から中古戦闘機の売り込みが舞い込んだことがあります。戦闘機の数に難儀していた日本にとってありがたい提案だったはずなのに、断ってしまった真意とは? アメリカ軍から戦闘機まとめ売りの提案 2021年現在、航空自衛隊で調達が進められている最新鋭のステルス戦闘機、ロッキード・マーチン製のF-35「ライトニングII」は、1機あたり100億円を超えるとされます。最先端テクノロジーの結晶である新型戦闘機はいつの時代も“高級品”です。 高級品である新型戦闘機の数をそろえるのに時間がかかることは、航空自衛隊の草創期も同様でした。今から約60年前の1963(昭和38)年ごろ、航空自衛隊では当時最新鋭の戦闘機であったロッキードF-104J「スターファイター」の部隊配備が始まります。 F-104Jは上昇性能に優れたマッハ2級の高性能戦闘機でした。ゆ