『公研』2023年1月号「対話」 ※肩書き等は掲載時のものです。 今やあたりまえのものとして存在する時間。 日本人は時間とどのように歩んできたのか? 日本標準時子午線が通る明石市立天文科学館で、井上館長と早指しの名手糸谷八段に日本人の時間感覚について語っていただく。 明石市立天文科学館館長 井上毅氏 × 八段・棋士会副会長 糸谷哲郎氏 時間にルーズだった日本人 井上 本日は「日本人と時間」をテーマにお話していこうと思います。私はもともと天文が好きで明石市立天文科学館に勤務し始めました。明石市と言えば、東経135度の日本標準時子午線が通る街ですよね。当館はまさに標準時子午線の真下に建てられていることもあって、次第に天文と時間のつながりを意識するようになりました。そんなこともあって、日本人が今のような時間感覚が形成されるきっかけとなった「時の記念日(1920年に制定)」についても研究を始め