宇宙論とは、宇宙全体を研究対象とする物理学の一分野です。 宇宙の“始まり”や“終わり”とはどのようなものであるのか、宇宙全体の進化やその組成などを、物理学の理論と観測データを用いて理解するのがその目的です。 宇宙の始まりのような現象が、観測データを用いて議論できるようになったと聞いても、にわかには信じ難いかもしれません。しかし、今やそれが可能な時代に私たちは生きているのです。 過去20年間に渡り、宇宙論は「黄金時代」と言われるほど、爆発的な進展を遂げてきました。それには、理論の発展もさることながら、観測装置の進歩が大きな役割を果たしてきました。日本ではハワイにある「すばる望遠鏡」が有名ですが、今日の話題にも深く関わるWMAP(Wilkinson Microwave Anisotropy Probe:ウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機)も、そういった先端技術の粋を集めた観測装置のひとつで