東京の地下鉄で大改造計画が進行中だ。新線建設が一段落したいま、既存路線の機能を再構築する工事がすでに始まっている。 東京地下鉄(以下東京メトロ)は、東京の地下鉄9路線を運営しており、副都心線を最後に新線建設を終え、既存路線の改良工事の対象を「点」から「線」に移した。駅などを部分的かつ個別に改良していた時代から、路線全体を集中的に改良する時代に入り、まさに大改造と言える大規模な改良工事をすることになったのだ。 では、なぜいま大改造が必要なのか。東京メトロの取締役で改良建設部長の野焼計史氏は、大きな課題である混雑の緩和や遅延の抑制を実現するには、部分的な改良だけでは不十分で、路線全体を大改造するしかないと語る。 今の施設では、さばききれない 混雑や遅延の大きな原因は、既存の鉄道施設ではさばききれないほど利用者数が増えたことだ。東京の地下鉄網は、戦前に開業した銀座線を除けば、戦後に山手線などの地