マセマティカルモルフォロジーの思想 Philosophy of Mathematical Morphology 浅野 晃 Akira ASANO アブストラクト マセマティカルモルフォロジー(以下モルフォロジー)は,画像中の図形の持つ構造を抽出するために図形を 操作する演算の体系である.モルフォロジーは,完備束上での演算に拡張することにより,有界な非線形信号処理の基盤と なる体系ととらえることができる.有界とは「上限や下限が存在する」という意味であり,有界な演算は,上限も下限もな い線形な演算に比べ,現実の世界をより精密に表すことができる.このような有界性・非線形性は,ニューラルネットワー クやファジー演算などとも共通するものである.本記事では,モルフォロジーの思想と原理を,これらとの関連にも触れな がら解説する.更に,モルフォロジーに関連した,図形を「測る」研究も紹介する. キーワード