形質の極性決定は分岐分類学の根幹ではなくなったのか? 三中信宏氏の書評へのコメント 直海 俊一郎 (Naomi Shun-Ichiro) 千葉県立中央博物館 動物学研究科 SHINKA (Vol.3, No.3) に掲載された三中信宏氏によるWiley et al. (1991)[宮正樹訳, 1992]の書評(三中, 1993)を読んでいたところ,「おや?」と思われる一文がありました。それは外群比較アルゴリズムについ て説明する項においてですが, 『形質の極性決定(polarization) すなわちどの形質が相対的に原始的/派生的であるのかの推定は,従来は分 岐分類学の根幹であると考えられてきた作業でした(“過去形”に注意してください)』 という文章です(p. 129)。この文章について古典分岐学や北欧分岐学(後述)を支持する立場から本稿にお いてコメントを試みたいと思います。 上述