宮城県の石巻で生まれ育った。そして18歳で上京した。市内に大学はなく、進学するには、遠く離れた都会の大学にいくしかなかった。本屋さんのブルーバックスの中が、優れた知性との接点だった。東京には、仙台の大きい本屋さんよりも、もっと大きな本屋さんがあって、神田といういうところには、本屋さんだけの町があると聞いて、どきどきしていた。 だから、大学入試のために東京に行ったとき、最大関心時は「神田の古本屋街」だった。そこに、行きたいと思って、国電の神田駅で降りて交番で尋ねた。おまわりさんは、信号の数で13個先の交差点のあたりだと、西の彼方を指して引っ込んでしまった。西に進んではみたものの、交差点ごとに信号が4つもあって混乱し、3つ先の交差点でうろうろしたりした。 それでもなんとか、三省堂書店という大きな本屋さんに着き、夢の世界にいったように興奮して帰ってきた。その本屋さんには、1/2.5万地形図がいっ