ブックマーク / book.asahi.com (11)

  • 「会津という神話」書評 呼び戻された「悲劇」の死者|好書好日

    会津という神話 〈二つの戦後〉をめぐる〈死者の政治学〉 (MINERVA人文・社会科学叢書) 著者:田中 悟 出版社:ミネルヴァ書房 ジャンル:哲学・思想・宗教・心理 会津という神話 〈二つの戦後〉をめぐる〈死者の政治学〉 [著]田中悟 「いまだに長州への怨念(おんねん)を抱いている」 お酒の席でそんな思いを吐露する会津の人と、私はこれまで何度も出会ってきた。幕末の戊辰戦争で長州軍にさんざん痛めつけられた会津は、いまでもその時の恨みを忘れていないというのである。 しかし、書の著者はそのような感情は戦後になって高揚したもので、戦前・戦中の会津では、長州人と同じ「勤皇精神」の持ち主だという思いが大勢を占めていたという。「長州への怨念」は、戦後に「無垢(むく)な敗者」「近代日の被害者」というアイデンティティーを獲得する過程で、あらためて喚起され直した感情だというのである。 戊辰戦争の死者は、

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  • 村上春樹さんが寄稿 領土問題、文化への影響憂う - 本のニュース | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    作家の村上春樹さん(63)が、東アジアの領土をめぐる問題について、文化交流に影響を及ぼすことを憂慮するエッセーを朝日新聞に寄せた。村上さんは「国境を越えて魂が行き来する道筋」を塞いではならないと書いている。  日政府の尖閣諸島国有化で日中の対立が深刻化する中、北京市出版当局は今月17日、日人作家の作品など日関係書籍の出版について口頭で規制を指示。北京市内の大手書店で、日関係書籍が売り場から姿を消す事態になっていた。  エッセーはまず、この報道に触れ、ショックを感じていると明かす。この20年ほどで、東アジアの文化交流は豊かになっている。そうした文化圏の成熟が、尖閣や竹島をめぐる日中韓のあつれきで破壊されてしまうことを恐れている。  村上作品の人気は中国韓国台湾でも高く、東アジア文化圏の地道な交流を担ってきた当事者の一人。中国台湾で作品はほぼ全てが訳されており、簡体字と繁体字、両

    obata_hiroshi
    obata_hiroshi 2012/09/28
    村上春樹が「中国国内」には何も言わないのに「日本国内」には何かが言えるという論拠はなんだろうね?後、自分の著書が事実上発禁になってる状況に抗議もしないのは言論人としてはどうなんだか
  • 書評・最新書評 : 屍者(ししゃ)の帝国 [著]伊藤計劃×円城塔 - 川端裕人 (作家) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■浮かび上がる問い 意識とは人間とは 新世代SFの旗手として世界水準の活躍を期待されつつ夭逝(ようせい)した伊藤計劃のごく短い遺稿をプロローグに据え、生前深い親交があった芥川賞作家円城塔が「編」を書きつないで完成した大作である。ドラマチックな成り立ちを語りたい欲望は脇に置き、なにはともあれ極上の娯楽作品として、読め! 楽しめ! 噛(か)みしめろ! というのが実感だ。 歴史改変ものというSFサブジャンルの王道をいく。その改変のアイデアが凄(すさ)まじい。死体を蘇(よみがえ)らせる技術が実現し、屍者をロボットのように使役することで高度な発達を遂げた19世紀が所与のものとしてぽんと差し出されるのだ。 死体に「疑似霊素」を注入しパンチカードに記された制御ソフトをインストールする。プラグイン次第で軍事用にも鉱山作業用にも家庭用にも使用可能であり、至る所に屍者が溢(あふ)れる。情報技術的な用語が使わ

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  • 「円のゆくえを問い直す」書評 円高の害 異様な密度で考証|好書好日

    円のゆくえを問いなおす 実証的・歴史的にみた日経済 (ちくま新書) 著者:片岡 剛士 出版社:筑摩書房 ジャンル:新書・選書・ブックレット 円のゆくえを問い直す 実証的・歴史的にみた日経済 [著]片岡剛士 異様な密度の新書。企業が円高で悲鳴を上げる中、一面的な容認論も聞かれる。書は為替レートの根を解説、金位制から変動為替制への推移などの歴史をたどり、購買力平価やマンデル=フレミングなど為替の基礎理論を押さえ、近年の円高がなぜ有害かを堅実に説明。そして、理論的な理解をベースに、いまの円高の原因や、それが各種対応策でも改善されない理由が明快に説明され、根底にある今の日のデフレ経済という大問題へと議論が展開する。 理論、歴史、政策と、これほど盛りだくさんの内容を、手抜きなしで新書につめこめたのは驚き。各種メディアの評論家や学者たちによる変な円高容認議論のおかしさもわかるし、円高にとど

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  • 『幸せな未来は「ゲーム」が創る』書評 「現実を直す」世界観の大転換|好書好日

    幸せな未来は「ゲーム」が創る [著]ジェイン・マクゴニガル ゲームは、現実逃避だとしてよく非難される。でも、善行や努力の報いが明確でない現実にくらべ、ゲーム界での善行はすぐに結果が見える。つまらない作業や勉強や共同作業もゲーム仕立てなら楽しくなる。だからゲームを敵視せず、現実改善に役立てよう、と書は主張する。 事例は豊富だが、有益なゲームもあるというだけなら旧聞。書の妙味は、目的性や努力の結果が不明確だから「現実は壊れている」(原題)として、それが明確なゲームこそ正しい姿とした、ゲーム中心主義とも言うべき世界観にある。従来の、「ゲームだって役にたつからいじめないで」的な卑屈さから一転、ダメな現実をゲームで直してやるという剛毅(ごうき)さは天晴(あっぱ)れ。 むろんまだすべてゲームですむほど現実は甘くない。が、予想外の現実がゲーム化できているのも事実。すると書は単なる開き直りの大風呂敷

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  • asahi.com(朝日新聞社):大震災 仙台の作家・佐伯一麦さんに聞く - ひと・流行・話題 - BOOK

  • asahi.com(朝日新聞社):宮部みゆき「殺人はもう書きたくない」 青春小説『小暮写眞館』 - ひと・流行・話題 - BOOK

    宮部みゆき「殺人はもう書きたくない」 青春小説『小暮写眞館』2010年7月20日 社会派推理小説を書いてきた宮部みゆきさん(49)が、青春小説に挑んだ。『小暮写眞館』(講談社)は、現代を舞台にした小説では「初のノンミステリー」という。いわく「何も起きない小説」。これまで透徹した筆致で多くの殺人事件を描き、登場人物を不幸にしてきた。「2周目の出発点の作品」は、彼らを救う物語でもある。 『理由』の“一家4人殺害事件”。『模倣犯』の連続誘拐殺人事件――。「書いてつらくなるような事件は『もう書きたくない』という気持ちが、正直、出てきてしまいました」 主人公は高校生の花菱英一、通称「花ちゃん」。名字なのに親も「花ちゃん」と呼ぶような、一風変わった家庭に育った。父は、閉店した写真屋「小暮写眞館」を自宅に。いつの間にやら、心霊写真の謎を追う羽目になる。 かつての社会派推理小説のように、伏線が絶え間なく連

  • asahi.com(朝日新聞社):脳ブームに「待った」 学会「根拠示す配慮を」 - ひと・流行・話題 - BOOK

    脳ブームに「待った」 学会「根拠示す配慮を」2010年4月20日脳科学をめぐる 数年来の「脳ブーム」に対し、「脳科学はそう簡単じゃない」と訴える研究者が相次いでいる。「すぐ役立つ」ばかりを期待する世間に、「応用を安易に語りたがらない科学」が理解を求めている。 大阪大学の藤田一郎教授は、視覚と脳の関係を探る基礎研究者。昨年出した『脳ブームの迷信』(飛鳥新社)で、脳にまつわる様々な風説の横行を嘆き、一例として「脳トレ」を検証した。 2005年の発売から、09年9月末までに世界で正続2作が3218万売れたこのゲームソフトは、正式名称が「東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング」。「音読や簡単な計算で脳の血流が増す」という川島教授の理論に基づいて任天堂が開発した。 ■期待抱かせている 藤田教授は、脳トレが専門用語を交えた説明と「脳が活性化した」など

    obata_hiroshi
    obata_hiroshi 2010/04/20
    岡田対談にいいタイミングでニュースが 脳ブームに「待った」 学会「根拠示す配慮を」
  • 【レビュー・書評】日露戦争―起源と開戦 (上・下) [著]和田春樹 - 書評 - BOOK:asahi.com(朝日新聞社)

    日露戦争―起源と開戦 (上・下) [著]和田春樹[掲載]2010年3月21日[評者]南塚信吾(法政大学教授・国際関係史)■ロシアの新史料から定説覆す大胆な議論 「国民は(略)戦争に向かっていることとはまったく無関係だったのである。(略)自分のことに追われて生きていた(略)。そして戦争がはじまって、全国民がその中にまきこまれていった」。日露戦争はそういう戦争であった。書は、日の開国から始まり日露戦争に至るまでの日ロシアの関係を、朝鮮史を組み込みつつ論じている。 日清戦争とその後の露仏独による「三国干渉」、露清同盟と東清鉄道協定、遼東半島租借、義和団事件後の露清戦争などを経てロシアの満州進出が進む。その間に朝鮮への進出を進める日とのあいだに激しい対立が生まれたのである。 書によれば、1901年に成立した桂太郎内閣はその対立に新展開をもたらす。新内閣は小村寿太郎外相のもとに、対露協商

  • asahi.com(朝日新聞社):電子書籍化へ出版社が大同団結 国内市場の主導権狙い - 出版ニュース - BOOK

    電子書籍化へ出版社が大同団結 国内市場の主導権狙い2010年1月13日 拡大が予想される電子書籍市場で国内での主導権を確保しようと、講談社、小学館、新潮社など国内の出版社21社が、一般社団法人「日電子書籍出版社協会」(仮称)を2月に発足させる。米国の電子書籍最大手アマゾンから、話題の読書端末「キンドル」日語版が発売されることを想定した動きだ。 携帯電話やパソコン上で読める電子書籍市場で、参加予定の21社が国内で占めるシェアはコミックを除けば9割。大同団結して、デジタル化に向けた規格づくりや著作者・販売サイトとの契約方法のモデル作りなどを進める。 日の出版業界では「今年は電子書籍元年」とも言われる。国内の市場は2008年度は約464億円だが、5年後には3千億円規模になる可能性があるとの予測もある。成長をさらに加速させそうなのが読書専用端末の普及だ。アマゾン(キンドル)のほか、ソニーやシ

  • asahi.com(朝日新聞社):白洲家の流儀 [著]白洲信哉 - 新書の穴 - BOOK

    白洲家の流儀 [著]白洲信哉[掲載]週刊朝日2009年6月5日号[評者]青木るえか■白洲様のイヤラシサを楽しめなかった 書名を見た瞬間、高鳴る胸の鼓動を抑えられず屋でひったくるように買った。『白洲家の流儀』。 私は白洲正子を嫌っている。だから白洲関係の書籍はほとんど読むようにしている。嫌いであるからこそ嫌いに磨きをかけたく、嫌うネタを拾うためにも白洲関連猟書は必須。 さて、白洲関連の文章でもっとも私を喜ばせる(=白洲夫婦のヤな感じをじっくり味わえる)書き手は、北康利と白洲信哉で、ことに白洲信哉は白洲夫婦の孫であり、血を引いてるだけにエラそうにいろいろと書いていることが「これは白洲家の血か。このイヤラシサは血統か」などと楽しめる。週刊誌の連載で白洲正子が行ったような場所を回って美麗写真とともに「日の美とは」みたいなことを語っているやつなど、神社とか山とか私の好きなとこにいっぱい行ってるの

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