毎年このリストを書くたびに思うが、経済学の学問的生産性は明らかに落ちている。特に21世紀の世界的な低成長・低インフレ・低金利などの新しい問題について、正統派の経済学は答を出せない。このため半世紀以上前の「どマクロ経済学」の亡霊が日本を徘徊し、政権にまで影響を及ぼしている。 白川方明『中央銀行』 フランシス・フクヤマ『政治の衰退』 ロバート・フランク『ダーウィン・エコノミー』 武田悠『日本の原子力外交』 ニーアル・ファーガソン『大英帝国の歴史』 森本あんり『異端の時代』 有馬哲夫『原爆 私たちは何も知らなかった』 Fred Pearce “Fallout” 細谷雄一『自主独立とは何か』 マルクス・ガブリエル『なぜ世界は存在しないのか』 元日銀総裁の回顧録1も、経済学の現状について「長期的な均衡状態からの乖離として現実を描くモデルに無理がある」と批判的で、1990年代の不良債権問題に多くの紙幅