1ドル=160円を突破した為替は介入で少し戻したが、その効果は一時的である。円が一貫して安くなるのはファンダメンタルな原因があるからだ。ちょっとややこしいが、解説しておこう。 名目為替レートはなぜ購買力平価より大幅に低いのか ドル円レートは、短期的には日米金利差で決まるが、この金利平価は購買力平価(PPP)から大きく乖離している。PPPの簡単な指標であるビッグマック指数でみると、東京では480円のビッグマックがニューヨークでは5.23ドル=815円。PPPは480÷5.23=91円だから、名目為替レートは42%も過小評価されている(図1)。 図1 ビッグマック指数(Economist) このように名目レートがPPPから大きく乖離したのは、2013年に黒田総裁が異次元緩和を始めてからだが、この差は金利だけでは説明できない。円が過小評価されていれば、輸出が増えて円が買われ、PPPに回帰するはず
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