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ブックマーク / note.com/eichan_sh (11)

  • 中国に現れた「失われた30年」の亡霊|上海在住のえいちゃん

    現代の中国社会を観察する際に一つの「思考の補助線」を引くと、バラバラに見える現象の輪郭が浮かび上がります。 それは「現代の中国は経済だけでなく、社会現象や文化までもが、かつての日におけるバブル崩壊後の歴史を辿っている」という仮説です。 今回の記事ではこの仮説に基づき、中国SNSに突如として現れた「モノクロの少女」がなぜ生まれ、何を暗示するのかを考察します。 死を示唆する少女キッカケは一枚のチャット画面でした。ある女性が、別れた彼氏と復縁したいがために「一緒に死のう」と迫り、それに対して友人が怯えながら「…私も死ぬの?」と問い返す。この会話が突如バズったのです。 右:「ねえ、私たちのお金を全部彼に渡そう」 右:「そうすれば、彼は仲直りしてくれる」 左:「私のお金もあげなきゃいけないの?」 右:「そう」 左:「149.38元(3,000円強)送金」 右:「彼が同意しなかったら私たち自殺しよ

    中国に現れた「失われた30年」の亡霊|上海在住のえいちゃん
  • フードデリバリーと中国社会の断裂|上海在住のえいちゃん

    道を埋め尽くす色とりどりのヘルメット。中国でこういった光景は当たり前となりました。もはやフードデリバリー員のいない風景を想像することはできません。 しかし、その「当たり前の日常」の裏側で深刻な変化が起きています。 2025年12月22日、湖南省長沙市。ある住宅地の前を、抗議の声を上げるフードデリバリー員の集団が埋め尽くしました。 時を同じくして、12月初めに国営放送(CCTV)とプラットフォーム大手が制作したPR動画が猛烈な批判を浴び、公開停止に追い込まれました。 いったい、中国ではいま何が起こっているのか。今回の記事ではフードデリバリー員から見えるリアルな中国社会と、その背後に潜む「断裂」を解説します。 「新ブルーカラー」の爆発的増加フードデリバリー員は今や中国経済を支える巨大な労働力となっています。 中国ではネット配車やデリバリー、宅配といった業種は「新型就業形態」とされ、いわゆるギグ

    フードデリバリーと中国社会の断裂|上海在住のえいちゃん
  • 「ラブブ」バブルの栄光と崩壊|上海在住のえいちゃん

    ポップマートの株価は15日の香港市場で一時約9%急落し、4月以来の大幅な下げを記録した。JPモルガン・チェースは材料不足と魅力的ではないバリュエーションを理由に同社の株式投資判断を引き下げた。それでも、ポップマートの株価は年初来で180%超値上がりしており、依然としてハンセン指数のトップ銘柄だ。 ニュースより抜粋このポップマートという企業は、「ラブブ」というIPによって急速に業績を伸ばしてきた会社です。では、なぜこの企業はここまで勢いを得ることができたのでしょう。そして今、なぜその勢いを失ってしまったのでしょうか。 稿では、このニュースの背景にある、中国発のキャラクター「ラブブ」をめぐるバブル崩壊とも言える現象について解説します。ラブブはなぜ流行し、どのようにバブルを形成し、そしてなぜ弾けてしまったのか。その原因を探ります。 最初に、中国でのポップマートと「ラブブ」の熱狂を理解するため、

    「ラブブ」バブルの栄光と崩壊|上海在住のえいちゃん
  • 「日本人=NPC論」を読み解く:中国人視点で考える日本社会|上海在住のえいちゃん

    最近、中国SNSで『日人=NPC論』というユニークな言説が注目を集めています。実際、中国SNS(小紅書)を見ると多くの議論を見ることができます。 NPCとはノンプレイヤーキャラの略称です。 ノンプレイヤーキャラクター(英: non player character, NPC)とは、プレイヤーが操作しないキャラクターのことを指す語である。プレイヤーに操作されるキャラクターを指す「プレイヤーキャラクター(PC)」の対義語である ノンプレイヤーキャラクター - Wikipedia記事は中国での『日人=NPC論』を読み解く試みです。 まず、その代表として一つのエピソードを紹介します。 日人がNPCである証拠を見つけた我发现了日人是NPC的证据 ファミマで会計をしていて、商品をカウンターに置きながら口にした。 「袋ちょうだい」 店員さんは「はい」と返事をして、そのまま操作を続けた。私はも

    「日本人=NPC論」を読み解く:中国人視点で考える日本社会|上海在住のえいちゃん
  • 中国“辛さ分布”の裏にある歴史と経済格差|上海在住のえいちゃん

    中国は広大な国土を持ち、その地域差は気候や方言だけでなく、文化にも色濃く表れています。なかでも「辛さ」の好みは、地域ごとに大きく異なる特徴の一つです。 中国の辛さMAPこれは中国各地の辛さMAPです。 无辣区🟩=日と同じ 微辣区🟧=普通がピリ辛 中辣区🩷=普通が辛い 重辣区🟥=普通が激辛 地獄辣🟫=普通がヤバい私の経験上、重辣区(普通が激辛)以上の場所で微辣(ピリ辛)を頼んで失敗したことが多いです。 このように、中国でも一般的に沿海部は辛くありません。 しかし、少し内陸部の江西省・湖南省が地獄辛、更に内陸の湖北省・重慶・貴州・四川省が重辛になっています。 なぜこのような分布になっているのでしょうか。 この記事では地域による辛さの違いを、気候・歴史・経済的要因から整理して解説します。そして最後に各地の辛さ文化を紹介します。 気候がもたらす辛さの役割一般的によく言われるのが気候説

    中国“辛さ分布”の裏にある歴史と経済格差|上海在住のえいちゃん
  • 無敵の人が生まれる中国社会の現場|上海在住のえいちゃん

    先日、湖南省の小学校近くで男が子どもに切りつけた事件が発生しました。 香港メディアなどによりますと、3日午後、湖南省にある小学校の校門付近で、男が刃物で近くにいた人を次々と切りつけました。 ニュース記事よりこのように、いま中国では「無敵の人」による無差別殺傷事件が多く発生しています。なぜ、こんなに多くの「無敵の人」が発生するのでしょうか。当然のことながら個別の事件の動機は様々です。 しかし、無差別殺傷事件に至らずとも、類似した事例を見ることで、その社会的背景をうかがい知ることができます。 今回の記事では、なぜ中国で「無敵の人」が生まれているのか。 切り口となるかもしれない3つのストーリーを紹介します。 最初は2025年6月に蜜雪冰城(MIXUE)というチェーンのあるお店が話題になったことの解説です。 蜜雪冰城(MIXUE)店員の「崩壊動画」“低価格神話”の裏側で、誰が泣いているのか6月3日

    無敵の人が生まれる中国社会の現場|上海在住のえいちゃん
  • スラム化する高層マンション:中国タワマン神話の終焉|上海在住のえいちゃん

    この記事は“中国、脱「超高層ビル」都市開発で方針転換”というニュースの解説です。 【北京共同】中国の習近平指導部は共産党・政府の高官が都市開発について議論する「中央都市工作会議」を北京で10年ぶりに開き「超高層ビルの建設を厳格に制限する」方針を示した。急速に経済発展した中国は高層ビルの建設を世界と競ったが、必要性への疑問や安全面の懸念が噴出。不動産不況を経て方針転換を明確にした。 中国、脱「超高層ビル」 都市開発で方針転換この方針変換の裏側には「高層マンションはいずれスラム街となるだろう」という予測があります。 中国では急激な経済発展のもとで都市化と不動産開発が加速、20階建て以上のタワーマンションの建築ラッシュが発生しました。 しかし、こうした高層住宅が将来的に「都市型スラム」へと変貌する可能性が指摘されています。 2019年の「予言」以下は2019年に発表された、スラム化する高層マンシ

    スラム化する高層マンション:中国タワマン神話の終焉|上海在住のえいちゃん
  • 徳なき老人は三代を滅ぼす:徐々に変化する中国の儒教的価値観|上海在住のえいちゃん

    今回の文章は以前に取り上げた「コスプレ事件の裏にある中国社会の多層構造」を逆側から見て、急速に発展した社会が生み出している歪みを解説したものです。 若者世代から見た老人世代の姿を紹介しながら、前時代的な価値観が現代社会にどのような影響をもたらしているのか、そしてタイトルの言葉に代表される価値観の変化をお伝えします。 以前にも取り上げたように、中国におけるZ世代(1995〜2010年生まれ)は、世界でも珍しい「三つの時代が同時進行する社会」を生きる世代です。現代的価値観を持つZ世代と、儒教的な家族観や地域共同体の考えが根強く残る老人のあいだでは、頻繁に衝突が起きています。 公共空間を占拠する老人代表的な事例として、つい最近に広州に住む方が投稿した「我在地铁站“怒怼”在里面乘凉遛娃的大爷(私は地下鉄駅で子どもを遊ばせるおじいさんを怒ってディスった)」を紹介します。 前提知識として、中国は共働き

    徳なき老人は三代を滅ぼす:徐々に変化する中国の儒教的価値観|上海在住のえいちゃん
  • なぜ中国人はカンニングをするのか:カンニング大国から学ぶ今後の対応|上海在住のえいちゃん

    中国人大学院生による集団カンニング事件が注目を集めました。このような中国人による試験の不正は最近になって目にすることが増えました。なぜ彼らは日で不正を働くのか?その背景には、単なる「不誠実さ」では片づけられない構造的・心理的要因があります。 この記事ではカンニングに対する日中の社会的構造の差が生み出す犯罪心理を解説します。そして最後に日がとるべき道を検討します。 日中国、試験不正に対する意識の違い「なぜ中国人は日でカンニングをするのか?」 この問いに答えるためには、まず両国における試験の意味と、不正に対する社会的な感覚の違いを理解する必要があります。 中国では「カンニング=刑事罰」中国では、試験不正は「国家を欺く犯罪」と見なされます。たとえば「高考(大学入試)」や「国家資格試験」などにおいてカンニングが発覚した場合、以下のような重い刑事処分が下されます 刑法第284条の一:

    なぜ中国人はカンニングをするのか:カンニング大国から学ぶ今後の対応|上海在住のえいちゃん
  • コスプレ事件の裏にある中国社会の多層構造|上海在住のえいちゃん

    この記事は2025年7月14日に発生した、「鬼滅の刃」のキャラクターである冨岡義勇のコスプレをしていた若者に対し、「日の軍国主義だ」と男性が激昂した事件の解説です。 中国では、コスプレをしている若者を怒る老人、特に「和服を着ている若者」に怒る老人のニュースが話題になることが多いです。こうした事件に対し、日では多くの人が「中国では共産党支配による日文化への迫害が起こっている」と受け取ることが多いです。 しかし、実際に現地で暮らしていると全く、そういった雰囲気ではありません。今回の記事は「空気感」の差を動画サイトのコメントを解析しながら解説します。そして、こういったコスプレにまつわる事件歴史を共有し、こっちの若者たちの感覚を理解していただくことが目的です。 最後には、日のコメントと比較することで、この報道に対する日中のギャップを比較・考察します。 中国コメント分析:冷静な中国の若者今

    コスプレ事件の裏にある中国社会の多層構造|上海在住のえいちゃん
  • 幸福とは何か:中国ディストピア漫画で知る底辺層のリアル|上海在住のえいちゃん

    今回、紹介する作品は中国という巨大な国の中でも最底辺で暮らしている人々の視点から描かれた物語、中等専門学校の鼠の大冒険(中专鼠鼠大冒险)です。 この記事は華やかな経済成長やテクノロジーとは対照的な「影の部分」に光を当てます。かなりダークな表現が多いので苦手な方はご注意ください。 この作品を通じ中国社会の過酷さと、ここで生きる人たちの強さ、そして幸福とは何かを感じ取っていただければ幸いです。 *7/6 22:00 ページ(3,4)を追加しました 中等専門学校とは前提となる知識の解説です。中国は大学入試試験(高考)が有名ですが、実はその前に高校入試試験(中考)があります。 中等専門学校とは日でいう専修学校のような存在です。場所によって異なりますが、上海では高校受験で成績の下位20%が行く学校の一つとされています。ここで学生は職業の技術を学び、卒業したあとは、すぐに就職することが多いです。 中

    幸福とは何か:中国ディストピア漫画で知る底辺層のリアル|上海在住のえいちゃん
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