印刷 末期がんと闘いながら一人芝居「命ありて」を演じる渡辺司さん=8月5日、長崎市、森下東樹撮影 全国の修学旅行生らに一人芝居で被爆体験を伝えてきた語り部、渡辺司(わたなべ・つかさ)さんが8月31日、膵臓(すいぞう)がんのため、亡くなった。79歳だった。通夜は1日午後7時、葬儀は2日午後1時から長崎市光町7の1のメモリード典礼会館で。喪主は妻妙子(たえこ)さん。 13歳の時、爆心地から1.6キロの自宅で被爆し、戦後は小学校教諭を務めた。被爆体験は半世紀近く秘めていたが、定年退職の間際、教え子に請われたのをきっかけに語り部の活動を始めた。一人芝居は1995年から16年で計237回上演、5万5千人以上の修学旅行生らが鑑賞した。 今年5月に末期がんであることが分かった後も舞台に立った。広島、長崎の原爆忌を前にした8月5日、初めて長崎市内の中高生だけを対象に上演したのが最後になった。