「お客様は神様です」という三波春夫の有名な言葉がある。この意味をほとんどのひとがユーザー迎合、ユーザー至上主義の言葉と解釈しているように思える。 わたしも長らくそう解釈していた。 言葉の頭に「あなた方」を補完しての解釈である。 「あなたがたお客様は神様です」 「私の歌を聞くあなたがたお客様はわたしにとっては神様でもある」という意味になるが、これはよく考えてみればまったく違う解釈も出来るかもしれない、ふと思った。 その違う意味というのは冒頭に「私の」という言葉を補完してみるとわかり易い。 「私のお客様は神様です」 「三波春夫にとっての本当の客は目に見えない神様で、それを聞いているわたし達お客は神様のついでにご相伴に預かっているだけに過ぎない」という意である。 芸能という本質でいえば、この考えのほうが正しい。芸能の源流はすべて神事であり、それはすべて神への捧げ物である。わたし達はそのついでに楽