◇現代の錬金術師たち ◇佐藤健太郎(さとう・けんたろう=サイエンスライター) 昨年、尖閣諸島沖漁船衝突事件にからんで中国の禁輸措置が取り沙汰されるなど、今やレアメタル問題は国際情勢の台風の目となっている。レアメタルは各種ハイテク機器にとって必須であり、日本経済の生命線を握る資源であることは詳述するまでもあるまい。磁石に用いられるネオジムやジスプロシウム、電池に用いられるリチウムやコバルト、LED(発光ダイオード)に用いられるガリウムやインジウムなどが代表的なもので、これらは希少であるうえに新しく作り出すこともできない。 経済産業省の定義によれば、物質を構成する基本要素である元素のうち、レアメタルは半分近くの47種にも上る(図1)。それぞれ用途や産出国、埋蔵量など事情は異なるが、共通しているのは資源の偏在という問題だ。 たとえばレアメタルの中でも重要な希土類元素(レアアース)供給の97%まで