マティスを追いかけて ジェームズ・モーガン アスペクト 2006 James Morgan Chasing Matisse 2005 [訳]山岡万里子 編集:宮崎洋一 協力:加賀雅子・東江一紀 装幀:前橋隆道 60歳をすぎた男とその妻が、 それまでの栄光と日々をほったらかしにして、 アンリ・マティスを追いかけた。 それがいわゆる美術探索の旅なんかじゃない。 あの日のマティスのように空気を吸うためだった。 とても珍しい行状の大冊である。 人生の半ばくらいを実感できる諸君に こっそり薦めたい。 マティスは84歳で没するまで絵を愉しんでいた。それまでちっとも挫(くじ)けなかった。ヘミングウェイ(1166夜)は62歳で自ら人生を降板した。 ジェームズ・モーガンは長らくヘミングウェイが好きだったのだが、あるとき自分が追いかけるべきはマティスであると確信した。いままで何をしてきたのか。そろそろ何かが変