2020年3月、マンハッタンのオーガニック食品ケータリング会社「オクス・ヴェルデ」は開店休業状態に陥った。新型コロナウイルスの感染拡大によって、無料のランチや朝食を提供してきたスタートアップや営業社員などの法人顧客が、軒並み在宅勤務に踏み切ったためだ。 イベントや会議もキャンセルが相次ぎ、こちらの需要も当面見込めない。オクス・ヴェルテのジェシー・グールドCEO(最高経営責任者)にとって、従業員の雇用を維持し、配送員への支払いを継続するために、パンデミックを乗り切る唯一の道は「販売方式の転換」しかなかった。 オフィスへのケータリングをやめ、一般家庭に食品を宅配するのだ。インスタント食品に加え、これを機に料理を作る気になった(あるいはそうせざるを得なくなった)健康志向の消費者にアピールする食材ボックスを販売する。 ただ、会社のウェブサイトはあるが、個人客の注文には対応していなかった。そこで、カ