九州大と北九州市立大の研究グループは、医薬品開発やナノテクノロジーの研究などに使われるウイルスのキャプシド(殻)の人工合成に成功したことを明らかにした。天然のウイルスキャプシドは大量生産が難しかったが、今回の成功で医薬品開発に新たな道が開ける。 研究成果は、13日(日本時間)付でドイツの化学専門誌「アンゲバンテ・ヘミ国際版」のオンライン速報版に掲載された。 研究グループ代表の松浦和則・九大大学院工学研究院准教授(高分子化学)によると、天然の球状ウイルスのキャプシドは正二十面体の形をしたタンパク質の集合体で、複雑な形状のため人工的に生成するのは困難とされてきた。 しかし、研究グループでは、キャプシドが正十二面体の特殊な構造をもった「トマトブッシースタントウイルス」を使い、天然とほぼ同形のキャプシドの生成に成功。通常の環境で生産可能なことを確認した。 天然のウイルスキャプシドは大腸菌などを使っ