<新連載>(第1回) 東ティモールにおける日本軍性奴隷制 古沢希代子 四半世紀にわたるインドネシア支配の陰で、封印されてきたもうひとつのの占領の記憶がある。それは1942年2月から1945年8月までの日本軍占領期の歴史、特に「慰安婦」という名の性奴隷にされた東ティモール人女性の体験である。それは問題の優先順位を男たちが決めてしまう東ティモールの社会で、これまで、いや今でさえ、耳を傾けられず、癒されることのない、女性たちの深い痛みである。しかし、昨年の「日本軍性奴隷制を裁く〈女性国際戦犯法廷〉」をきっかけに、この閉ざされたファイルを開くプロジェクトが、東ティモールと日本で始まった。このプロジェクトは、現在産みの苦しみを経験している東ティモール女性解放運動の一部であり、 日本軍占領の実態について証言を続けた故岩村正八さん(元台湾歩兵第二連隊/陸軍中尉)の弔い合戦であり、日本の東ティモール連帯運