今月号の会誌「情報処理」(2010年8月号目次)の特集は「コンピュータ将棋の不遜な挑戦」というタイトルで、ここ数年のコンピュータ将棋の発展の技術的な解説。こうやって毎年のように情報がアップデートされると非常にありがたい。 見所は鶴岡さんによる「選手権優勝記--激指の技術的改良の解説--」とktanaka先生・kanekoさんによる「大規模クラスタシステムでの実行--GPS将棋の試み--」の2記事。特に鶴岡さんによる記事は、Bonanza のよい解説にもなっており、必読である。実は、激指は 評価関数というのは,局面の形勢判断をコンピュータで行うための関数で,任意の与えられた局面に対して,どちらがどれだけ有利なのかを数値化する関数である.[...] このようなパラメータの調整は非常に手間のかかる作業だが,かつては完全に手作業で行われており,将棋プログラム開発における作業の多くの割合を占めていた
情報処理学会の白鳥則郎会長は4月2日、トッププロと戦えるコンピュータ将棋が完成したとし、日本将棋連盟の米長邦雄会長に公開対局を望む挑戦状を手渡した。将棋連盟は「いい度胸をしていると」受けて立つ構え。対戦は秋ごろの予定。 情報処理学会の白鳥会長は、「漸くにして名人に伍する力ありと情報処理学会が認める迄に強いコンピューター将棋を完成致しました」などと筆文字で書いた挑戦状を、将棋連盟の米長会長に手渡した。米長会長は「いい度胸をしているとその不遜な態度に感服仕った次第」など筆文字の手紙で返答。清水市代・女流王位が受けて立つという。 対局では、複数のソフトを疎結合で並列計算させ、それらの意見を集約して次の一手を決める合議アルゴリズムを使う予定。「GPS将棋」「Bonanza」「激指」「YSS」「TACOS」「柿木将棋」などから、実験をもとに最適な組み合わせを採用する。合議より単独が強ければ単独の可能
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 将棋界は今、あの羽生善治でさえ溺れかねない「激流」期にあるらしい。 定跡にない斬新な手筋を誰かが編み出しても、すぐさま他の棋士がその棋譜を分析し尽くして「研究済み」としてしまう。羽生は語っている。 「野生だと思っていたら、あっという間に舗装されてサファリパークになってしまう(笑)」 本書は、羽生と、ジェイムズ・ジョイスの『フィガネンズ・ウェイク』の翻訳などで知られ、将棋通としても有名な柳瀬尚紀氏との対談をまとめたものだ。 かつての将棋はお互いに定跡を守るのがお約束。最初から30手くらいまで自動的に進み、残りの70手で戦うという、のんびりした雰囲気が残されていた。 羽生によれば、「お昼に何を食べようかとか、そんなことを考えながら作戦を選んでいた
将棋を指さない人でも楽しめる将棋本、ということで、まったく指さないのに『シリコンバレーから将棋を観る』を読んだ。「サバティカル」中に生まれたこの本は、梅田さんのこれまでの著書のようなひとつのテーマをめぐって論考をめぐらせるような本ではなく、次のようなさまざまな側面を持っている。 観賞の対象としての将棋 ウェブ実況の文芸的可能性 イノベーションと将棋 探求者・研究者としての羽生さん 今回はこの中で、まずは最初の2点について感じたことを書いてみたい。 ひとつの本の中にこのようなさまざまな側面があると発散しそうなものであるが、それらを貫くひとつの軸となっているのが、将棋好きな無邪気なおっさんであるところの梅田さん自身である。この本を総体的に語ろうとすると梅田望夫論になってしまう。その点に関しても少しだけ触れたいと思う。 観賞の対象としての将棋 自分はこれまで将棋に関しては基本的なルールを知ってい
「シリコンバレーから将棋を観る」梅田望夫著 中央公論新社 (09/07/14読了) 文句なく、今年読んだ本のナンバーワン! 私は、将棋に何の興味もなく…というか、将棋を指したこともなければ、ルールすら知りません。それでも、活字を通じて、未知の世界を覗き見ることができるって、めちゃめちゃ刺激的! (ちなみに、昨年は「磯崎新の都庁」がナンバーワンでした。建築の世界も刺激的でした) もともとは仕事の関係で「斜め読みぐらいはしておこうか」という軽い気持ちで読み始めました。 著者は「指さない将棋ファン」として、その筋では有名な人らしいのですが、私は、「指さない将棋ファン」という言葉すら初耳。 でも、読んでみて、なるほどな-と思いました。野球観戦やサッカー観戦が好きな人が、必ずしも野球観戦やサッカーが上手いわけではない。むしろ、ほとんどの人が何年もボールに触ったこともないのに、ビール片手に「バカヤロー
申し訳ないことをしてしまった。4月下旬に梅田望夫さんから新著『シリコンバレーから将棋を観る -羽生善治と現代』を送っていただいて、その後すぐに読み終えていたのに、何の感想も書かないまま3ヶ月近くもたってしまったのである。この間、ゴールデンウィーク中には有志が翻訳を終えてしまうし、その後、梅田さんの周辺は「プチ炎上」するし、その間にも羽生名人が郷田九段の挑戦を退けて名人位を防衛したし、実にさまざまな出来事があった。 近々梅田さんとお会いする機会があるので、その前に慌てて感想を記しておくことにしたものの、雑駁でなかなかまとまらない。そうこうする間にも、棋聖戦が最終戦までもつれこむことになり、梅田さんは道後温泉でウェブ観戦記を書くことになった。観戦記を書くのは大変だと思うが、旅の予定が1週間前に突然決まるという状況をちょっと羨ましく感じる。 さて『シリコンバレーから将棋を観る -羽生善治と現代』
◇『シリコンバレーから将棋を観る--羽生善治と現代』 (中央公論新社・1365円) ◇熱く語られる将棋の「もっとすごい」未来 本書のまえがきには、「『指さない将棋ファン』宣言」といういささか挑発的なタイトルが付けられている。「指さない将棋ファン」とは何か。それはつまり、実際に駒を手にして将棋を指す機会はそれほどなくても、プロ棋士の将棋を観(み)るのが楽しみのひとつだという人たちのことである。 そういうファン層は、以前からも存在していた。彼らが将棋に接するのは、まず新聞の将棋欄と、日曜のNHK教育TVでの将棋番組を通してであった。わたしも幼いころ、ヘタの横好きである祖父が、夕食の後に酒を飲みながら、新聞に載っている棋譜を楽しそうに並べていたのを憶(おぼ)えている。大山とか升田という棋士の名前はそのときに知った。 ところが、この指さないファン層は、最近ではその性格が変わってきた。大きな原因は、
遅ればせながら、「ウェブ進化論」で有名な梅田望夫さんの話題の本「シリコンバレーから将棋を観る 羽生善治と現代」を読みました。 梅田さんの文章の凄みは、極めて情報の密度が濃く、しかも的確でわかりやすい点です。膨大な勉強量から抽出されたのだな、ということが一読でわかる文章。「ウェブ進化論」はまさにそんな本でした。さて、その密度の濃い文章が、将棋を描くとどうなるのか? 私も小学生のころは、今と違って家にテレビゲームもなかったので、将棋で遊んだ記憶はあります。ただそれ以降は、特段の関心を持つこともなく、今に至っています。 この新著は、近所の書店では当然のことながら将棋コーナーの書棚にありました。また、書名からも、シリコンバレー在住の経営コンサルタントである梅田さんが、趣味の将棋の本を初めて書かれたんだな、と理解するのが普通です。それは間違いとはいえません。これは将棋本です。 「指さない将棋
梅田望夫 うめだ・もちお ミューズ・アソシエイツ社長。 1960年、東京生まれ。慶應大工学部卒、東大大学院情報科学修士。1994年から米シリコンバレー在住。「ウェブ進化論」など著書多数。2009年4月に「シリコンバレーから将棋を観る」出版。 ネットで知識を共有する創造的な情報社会の未来を提示した「ウェブ進化論」など、IT関連の著作を数多く持つシリコンバレー在住のコンサルタントが4月に出版したのは、一見すると畑違いの将棋本。 「指さない将棋ファン」「観る将棋ファン」を自認する著者にとって、将棋とIT社会との接点は何だったのか。 梅田 子供のころから将棋は好きでしたが、勉強や仕事が忙しくなり、いつしか将棋を指すことから遠ざかりました。それでも本や雑誌は欠かさず読み続け、シリコンバレーに移ってからも、遠く日本で行われるタイトル戦をネットで観戦してきました。僕は「観る」「指さない」将棋ファンなの
(※)この記事は前編の続きです。前編:日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く ――インターネットの可能性は上から下まで開かれているところにあると思います。梅田さんの著書を読んでいると、例えば、最新刊「シリコンバレーから将棋を観る」の前書きにも、将棋を愛する人物の例として、医者や会社社長など肩書きのある“ハイソ”な人ばかり出てきて、「頭のいい人はすばらしい、頭のいい人は分かっているよね」とおっしゃっている印象を持ちます。 そういう言われ方をすれば、もうみんなそう思っていると思うけど、僕はそういう人間だよ。ハイブロウなものが好きですよ。それはしょうがないじゃない。 それは否定しないよ。僕はそういう人間だからね。でもね、本当はできる人が「できない」と言う文化は嫌いですね。本当はできる人が「自分はダメである」といってみんなと仲良くせざるを得ない日本の社会というのは嫌いですよ。 高校生でも中学生
今週後半から休暇を取って日本に行き、来週火曜日(9日)に新潟で行われる棋聖戦第一局のウェブ観戦記を書きます。ちょうど一年前、同じ棋聖戦第一局、同じ新潟の高島屋で、佐藤羽生戦のウェブ観戦記を書いたことが、さまざまな奇跡的な偶然の連なりを歩く旅の最初の一歩となり、それが「シリコンバレーから将棋を観る」につながりました。 さて今年の羽生善治棋聖対木村一基挑戦者の五番勝負は、昨年に勝るとも劣らない、現代将棋最高のカードの一つであると言ってよいと思います。 木村さんの近来の充実ぶりは圧倒的で、直近の7タイトル戦の挑戦者争いにおいて、 昨夏の王座戦挑決に勝って挑戦 竜王戦挑決に進出(1-2で羽生に敗れる) 棋王戦挑決に進出(1-2で久保に敗れる) 名人戦A級順位戦最終局まで挑戦権に絡み(郷田挑戦) このたびの棋聖戦挑決に勝って挑戦 そして今夏の王位戦の挑決に進出した(挑決は橋本戦) リーグ入りできなか
前回の来日中のある一日の午後いっぱいをかけて、「シリコンバレーから将棋を観る」刊行時プロモーションのための連続インタビュー取材を、版元の中央公論新社で受けました。「将棋世界」誌、「週刊将棋」紙の取材と、書店での新刊サイン会の間が、岡田有花さんのインタビューでしたが、ほとんど本のことは尋ねてもらえず(笑)、「すごいなあ、さすが岡田有花さんだなあ」と思いつつ、いつ将棋の本の話をさせてもらえるのかなぁと、時計を気にしながらの約一時間でした。明日の後篇では、将棋の本の話のことも少しは出てくるのかなあ(笑)。 ただ、すごいアクセス数のようなので、この本を僕が書いたことを知らなかった人に、「へえ、こんな本を書いたの」と興味を持ってもらえるきっかけになればと思います。 (これまでにインタビューをお断りしたメディアの方々に、以上、背景説明をしておきます。)
2年前の「ウェブ時代をゆく」のレビューをmixiで 書いたときに「梅田氏は(スポンサー以外は)自分より若い人しか会わないらしいので、きっと会う機会はない(笑)。」書いたのだが、思いもかけず、「シリコンバレーから将棋を観る」全訳プロジェクトの関係で梅田さんにお会いする機会があった。今まで梅田氏の新書は皆読んでいたが、これを契機に今まで読んでいなかった著書(「ウェブ時代5つの定理」と「シリコンバレーは私をどう変えたか(オリジナル及び文庫版)」)を読もうと思った。 というわけで、まず「ウェブ時代5つの定理」。出版より1年以上遅れだが、書評と言うより、この本を読んでいろいろ考えたことを書いてみよう。 ウェブ進化論以来、梅田氏の本やブログには多くの共感や賞賛と同時に強い批判が向けられた。 ・今さらこんな当たり前のことばかりを書いている、とか、 ・オープンソースやweb2.0などの言葉を単純化して提示
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