日生劇場でジョン・ケアード演出『十二夜』を見てきた。 このプロダクションの特徴はセットが大変凝っていることである。真ん中にはラテン語の銘文が入った日時計がある。その両脇には三重くらいになっている半円形の緑の生け垣があり、生け垣と生け垣の間は人が通れるようになっている。日時計の奥には門がある。セットの見た目はかなり『レディ・ベス』に似ていると思うのだが、どちらかというと見た目は迷路(maze)に近く、登場人物が心にたくさんの秘密を抱えている『十二夜』の物語にぴったりあっている。さらに、明るい雰囲気の芝居である『十二夜』にしては珍しく、雨や雷、影、雲などを効果的に組み込んでいるのが独創的で、とくにちらつく木陰を表した照明は登場人物の揺れる心境を象徴しているようでとても効果的だ。 影のモチーフはキャスティングの上でも重要な位置を占めている。このプロダクションではラスト以外、音月桂がヴァイオラとセ