シンガポール金融通貨庁がまとめた2007年末時点の同国の資産運用残高は前年比32%増の1兆1730億シンガポールドル(約73兆円)で7年連続の2ケタ増だった。08年中にさらに多くの資金が同国に集まったとみられるが、その資金の流入元の1つがスイスだ。 スイスと言えばスイス銀行と呼ばれる大手プライベートバンク (富裕層向け資産運用サービス)が有名で、その顧客情報の守秘義務においては厚く信頼されてきた。刑事事件が起こっても原則として顧客の情報は外部に漏らさないことでマネーロンダリングの中継地としてもしばしばスイス銀行の口座が使われることもあったが、永世中立国としての政治的立場や税制の優遇、何があっても顧客の資産を守るというスタンスから世界中の富裕層から愛されてきた。 しかし最近になって長年にわたり積み重ねてきた信頼が揺らぐような出来事が起こっている。世界最大の富裕層向け銀行であるスイス・ユナ