ウクライナへの凄惨な攻撃を続けるロシア。独裁体制を築くプーチン大統領を止めるべく、内部でのクーデター発生を願う声も聞こえるが、それはあり得るのか? ロシア研究者の筆者が、FSBを中心に築かれたプーチンの国家体制を分析する。 (『中央公論』2022年5月号より抜粋) ウクライナに全面侵攻し、国際社会から完全に孤立したロシア。形式的な独立系メディアさえ閉鎖され、多くの外国企業も撤退。体制に反対する人々の取り締まりは一層強化され、さながらペレストロイカ(改革)期以前のソ連のようだ。無謀な作戦とウクライナの国民的抵抗でロシア軍が想定外の損害を受ける中、ロシア内部での軍事クーデターに望みを託す声も聞かれる。 他方、この問題を考える際に押さえておかなければならないのは、ロシアは軍事大国ではあるが、軍人による国家ではないことだ。国を動かすのは、プーチン大統領の出身機関であるソ連国家保安委員会(KGB)を
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