門田が(もんでん)と読むならルビは必要だが、どうして田中にまでルビが振ってあるの? (たなか)なら読めるぞー。いったいどういう基準でルビ、振り仮名は振られているのか!? というわけで、本の雑誌7月号の特集は「あなたはルビを振りますか?」。ルビ振りの苦労を編集者が語る座談会から、ルビの歴史にミステリーから学ぶルビ、ルビの組み方に校閲者のルビ格闘記、そしてルビ文学のすすめに各社のルビ体験まで、ルビ界隈の隅々に細か〜く迫る特集だあ! 新刊めったくたガイドは、柿沼瑛子が人情味とほろ苦さが"いい塩梅"な『ミステリーしか読みません』に◎を打てば、石川美南は年間ベスト級作品目白押し!に絵本もあるよ、と欣喜雀躍。大森望が地球環境から野球まで、一年ぶりの短編SF祭りに小躍りすれば、酒井貞道はサプライズに拘り抜いた歌野晶午の短篇集『それは令和のことでした、』を絶賛! 松井ゆかりが池井戸潤『俺たちの箱根駅伝』の
マライ 文句なく面白かったです。情報や観点やネタを詰め込み過ぎという批判が出そうな気もしますが、それ以上に刺さる威力が強いし、読みやすかったのでノープロブレム。概要紹介だけだと、志の高いマスコミ人が戦時秘話と陰謀を掘り起こす系のありがちな情緒寄り現代史ミステリーっぽく見えてしまうんですが、読むとぜんぜん違う。執筆にあたって社会史的、産業史的な取材を綿密に行ったフシもあってそこに感銘を受ける人も多いだろうけど、自分にとってポイントはそこじゃない。 杉江 作者が勉強したからえらい、ということではないと。同感です。 マライ 場面構築の材料には陳腐に見える要素がけっこう多いのですよ。途中に出てくる中ボス犯人のふるまいなどいわゆる二時間サスペンスドラマの情景そのまんまですし。でも、その犯人とかチョイ役っぽいキャラクターの人生にも、世界が何がしかの真理や美を垣間見せる瞬間があり、彼や彼女はそれをおぼろ
第169回直木賞受賞予想。杉江「消去法で永井紗耶子『木挽町のあだ討ち」」マライ「脳内で絶叫が谺するような超快作は無かったかも」 今回からWEB本の雑誌にお世話になって、芥川・直木賞予想対談をすることになりました。どうぞよろしく。〈職業はドイツ人〉マライ・メントラインと〈書評から浪曲まで〉杉江松恋のチームM&Mが7月19日に選考会が行われる第169回芥川・直木賞を語り倒しますよ。 では、直木賞候補作をじっくり語ります(選考委員は、浅田次郎・伊集院静・角田光代・京極夏彦・桐野夏生・髙村薫・林真理子・三浦しをん・宮部みゆき)。芥川賞編はコチラ。 ■第169回直木三十五賞候補作 冲方丁『骨灰』(KADOKAWA)3回目 垣根涼介『極楽征夷大将軍』(文藝春秋)3回目 高野和明『踏切の幽霊』(文藝春秋)2回目 月村了衛『香港警察東京分室』(小学館)初 永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(新潮社)2回目 杉
第169回芥川賞受賞予想。マライ「市川沙央『ハンチバック』が凄すぎる、有り金全部!」杉江「乗代雄介『それは誠』と『ハンチバック』が同率」 今回からWEB本の雑誌にお世話になって、芥川・直木賞予想対談をすることになりました。どうぞよろしく。〈職業はドイツ人〉マライ・メントラインと〈書評から浪曲まで〉杉江松恋のチームM&Mが7月19日に選考会が行われる第169回芥川・直木賞を語り倒しますよ。 では、芥川賞候補作をじっくり語ります(選考委員は、小川洋子・奥泉光・川上弘美・島田雅彦・平野啓一郎・堀江敏幸・松浦寿輝・山田詠美・吉田修一)。直木賞編はコチラ。 ■第169回芥川龍之介賞候補作 石田夏穂「我が手の太陽」(「群像」2023年5月号 )2回目 市川沙央「ハンチバック」(「文學界」2023年5月号 )初 児玉雨子「##NAME##」(「文藝」2023年夏季号)初 千葉雅也「エレクトリック」(「新
定価:1,320円 取次搬入:2023年4月11日 (一部地域では2,3日遅れることがあります) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto →バックナンバー →定期購読について →アンケート・三角窓口受付 →スッキリ隊出動依頼 本の雑誌の創刊者である目黒考二が急逝してふた月半。本とギャンブルを愛し、家に帰らず、事務所で本を読み続け、競馬場で馬券を外し続けた目黒考二は出版界に何を残していったのか。というわけで、本の雑誌5月号は目黒考二・北上次郎・藤代三郎追悼大特集「さらば友よ!」。仕事場の本棚写真から、発行人目黒考二、書評家北上次郎、馬券師藤代三郎の実像をそれぞれ語る座談会、椎名誠、群ようこ、目黒慎吾・謙二兄弟、北方謙三、大沢在昌、宮部みゆき、逢坂剛、山田裕樹、森絵都、馳星周、浅田次郎、夢枕獏、井崎脩五郎、亀谷敬正、須田鷹雄ら、総勢30人を超す知人、友
「本の雑誌」創刊者で弊社前社長の目黒考二(めぐろこうじ)が、2023年1月19日10時、肺がんのため永眠しました。享年76歳。みなさまには生前のご厚誼に心から感謝いたしますとともに、ここに謹んでお報せ申し上げます。 葬儀は近親者のみにて家族葬として執り行います。誠に勝手ながら、御香典、御供花、御供物の儀はご辞退申し上げますことをご了承ください。後日、お別れの会を執り行う予定です。 目黒考二は本名のほか、文芸評論家・北上次郎、競馬エッセイスト・藤代三郎の名でも幅広い執筆活動を続け、エンターテインメント書評という新しい分野を確立しました。社員一同、故人の遺志を継ぎ、「本の雑誌」をみなさまからより愛読される雑誌にしていく所存です。 なお、大変恐縮ではございますが、ご遺族および椎名誠氏へのお問い合わせや取材につきましては差し控えてくださいますよう、何卒ご理解とご協力の程、よろしくお願い申し上げます
特別定価:897円 取次搬入:2021年12月7日 (一部地域では2,3日遅れることがあります) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto →バックナンバー →定期購読について →アンケート・三角窓口受付 →スッキリ隊出動依頼 新春恒例、年間ベスト10の季節が今年もやってきた! というわけで、「本の雑誌」1月特大号は、年に一度のベスト10特集号。本の雑誌が選んだ2021年度ノンジャンルのベスト10に、鏡明のSFベスト10、池上冬樹のミステリーベスト10、縄田一男の時代小説ベスト10、佐久間文子の現代文学ベスト10、栗下直也のノンフィクションベスト10、そして北上次郎のエンターテインメントベスト10と並ぶ、怒濤のベスト10七連発だ! さらに作家、評論家、翻訳家など総勢32名が選ぶ「私のベスト3」、もちろん忘れちゃいけない読者のベスト1もあるぞ!のベスト
『宇宙の春 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)』 ケン リュウ,古沢 嘉通,牧野 千穂,古沢 嘉通 早川書房 2,090円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto ケン・リュウ『宇宙の春』(早川書房《新☆ハヤカワ・SFシリーズ》) 短篇SFの名手ケン・リュウの、日本における四冊目の短篇集。先行する三冊と同様、古沢嘉通さんが作品を選んでいる。多彩なアイデア・テーマ・構成を自在に書きわけ、ハイレベルに仕上げるケン・リュウの実力はもちろんだが、紹介者に恵まれたことは幸運というほかない。作者にとっても、読者にとっても。 新しい作家の翻訳では、紹介する順番が重要だ。ケン・リュウの最初の邦訳短篇集『紙の動物園』が叙情的な作品を前面に出していたのは、日本の読者層を意識してのことだろう。その戦略はみごとに功を奏し、ケン・リュウの名は、SFファンだけにとどまら
『その犬の歩むところ (文春文庫)』 テラン,ボストン,Teran,Boston,俊樹, 田口 文藝春秋 902円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『神は銃弾』『音もなく少女は』といった傑作で日本で多くのファンを獲得しているボストン・テラン。世界を満たす暴力と理不尽を、カルト教団と戦う父親と傷ついた女性の二人を苛烈な暴力を通じて、あるいは世界との戦いを決意した少女の姿を静かに描く筆致によって描きつづけてきたテランだが、その新作、『その犬の歩むところ』が日本で刊行される。アメリカのさまざまな場所で、降りかかった不幸や災いに立ち向かう男女と、そのそばに寄り添う一匹の犬の物語である。『音もなく少女は』に通じる静かな物語だが、テランらしい詩情と、神話的な語りの横溢した傑作に仕上がっている。 しかしボストン・テランという作家の実像には謎が多い
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く