戦前日本は1931年の満州事変という大きな転機を経て、日中戦争、そして破滅的な太平洋戦争へと突き進むことになる。その過程で旧日本陸軍が大きな役割を果たしたのは間違いないが、ではその「軍の暴走」の下地はどのように整えられたのだろうか。旧日本陸軍の「変貌」をたどってみよう。 一貫した戦争目的を欠いたまま、場当たり的に日本は対中・対米戦争に突き進んでいく(写真は1938年の中国戦線の日本軍)(Pictures from History/Gettyimages) 1937年に始まった日中戦争は、当初は局地紛争に過ぎなかった。日本政府も陸軍もこの紛争を全面戦争に発展させる意思はなかった。まして米国との全面戦争につながることを期待した人間はいなかった。なぜ多くの政治家や軍人の意思とは裏腹に、極東の小紛争は対米全面戦争へと発展していくのだろうか。 後追いで設定された戦争目的 戦争が政治行動である以上、そ
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