●問題 : 甲男は、かねてから恨みの持っていた乙男を殺そうと思い、丙に拳銃を渡して殺害を依頼した。丙は乙男を待ち伏せし至近距離から1発撃ったところ、外れて通常であれば全治2週間程度の傷を負わせるにとどまった。ところが乙男は心臓病であり、ショック死してしまった。 この事例につき丙の罪責、及び乙男が心臓病と知っていた場合と知らなかった場合に分けて甲男の罪責を論ぜよ。 ●考え方 : 本問では、通説である相当因果関係説で論じる。ただこの説の中にも相当性の判断基準の違いによって折衷説と客観説に対立している。 1丙の罪責を検討する。 丙は殺人既遂罪の罪責を負うのか。2週間程度の傷を負わせただけなのに乙男が心臓病であるという特別な事情で死亡に至っている。丙の行為と乙の死亡という結果に因果関係はあるか。 A条件説 「あれなくば、これなし」の条件説では、偶然と思われる結果まで行為者に帰責して