浜松市天竜区の天竜川で今年8月、川下り船が転覆し、乗客ら5人が死亡した事故で、運航会社の第3セクター「天竜浜名湖鉄道」は11日、同市役所で取締役会を開き、川下り事業からの撤退を正式に決定した。 後継会社は見つかっておらず、歴史ある川下りの廃止が決定的となった。 川下り事業を巡っては、事故直後、同社会長の川勝平太・静岡県知事が来年度以降の再開に前向きだったが、10月、同社の名倉健三社長が「元々赤字の事業で、事故防止のための安全体制を整えると、より経費がかかる」などと撤退の意向を表明。川勝知事もこれを尊重し、11日、同社に出資する周辺市町の首長らによる取締役会で、全会一致で撤退が決まった。 事業を同社に委託している天竜観光協会(同市天竜区)の萩田幹雄会長は「ほかに引き受けてくれる会社はない。事業廃止はやむを得ない」としている。