冷戦崩壊以降の政治的な対抗軸を、市場競争重視の「新自由主義」と、再配分重視の「社民主義」(第三の道)の対立として総括できるとすると、日本における顕著な特徴は両者が90年代から2000年代にかけて、ほとんど共闘関係にあったことにある。 その象徴が、先日亡くなった筑紫哲也である。筑紫哲也は普通に考えれば日本の社民主義勢力を代表する人物であるが、靖国問題を除く「小泉改革」には(少なくとも郵政解散選挙までは)概ね肯定的であったし、竹中平蔵が入閣する際にはかなり熱い期待を寄せていた。田原総一朗などは筑紫などよりもさらにもっと明快で、今でもなお懸命に声を張り上げて「小泉改革」を全面的に支持している。 社民主義の政治思想には当然ながら、市場原理の負の側面に対する懐疑や警鐘が伴っているはずである。しかし日本では、奇妙にも社民主義者のジャーナリスト・学者が、「民間でできることは民間に」という構造改革路線をこ