ネット上の書き込みは、「世間の声」として紹介されることがある。しかし、そうした「ネット世論」には、深刻な偏りが見られるという。『いいね!ボタンを押す前に』(亜紀書房)より、国際大学の山口真一准教授とエッセイストの小島慶子さんの対談を紹介する――。 Twitterでネガティブ発信するのは40万人に1人 【小島】ネットの書き込みって、あたかも“世の中の声”であるかのように見えてしまうんですよね。それが多くの人を不安にさせています。誰が書き込んだかもわからないようなものが、本物の世論のように見えてしまう、これはなぜなんでしょうか。 【山口】私の研究では、例えばネット炎上で、Twitter上でネガティブな発信をしているのはユーザー全体の0.00025%に過ぎないことがわかっています。これはおおよそ40万人に一人ですから、すごく少ないですよね。ネット炎上をサンプリングして分析したなかには、15人くら