日本の先端技術を海外に売り渡す。「生活のため」と言われたら、それを止めることなどできるだろうか。 成長戦略を見失い、定見なきリストラを繰り返すだけ。国内の電機メーカーが招いた悲劇を描く。 「5年前ならパナソニックやソニー、シャープの技術者が、私たちの会社に登録して、転職を希望することはまずありませんでした。ところが、いまは大手家電メーカーに勤める技術者が毎日、しかも複数の方が登録をされています」 こう話すのは、人材紹介会社『プロフェッショナルバンク』社長の児玉彰氏だ。 日本企業から韓国や中国のメーカーへの転職を希望する人材は増え続けている。 「今年これまでに転職をしたいと相談に来られた方は、大手電機メーカーだけで100名は超えています。20代や30代の若い技術者もおられますが、多いのはやはり50代。部長以上の役職者が中心です」 彼らの転職先は、今や日本企業よりも海外企業のほうが