CA1979 – 動向レビュー:欧州の図書館と電子書籍-従来の公共図書館よ、安らかに眠れ? / ベンジャミン・ワイト,井上靖代(翻訳) 映画評『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』 国際日本文化研究センター図書館:江上敏哲(えがみとしのり) 元・京都シネマ:谷口正樹(たにぐちまさき) 関西大学文学部:門林岳史(かどばやしたけし) 1. はじめに ワイズマン(Frederick Wiseman)監督による2017年公開のドキュメンタリー映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』(以下「本作」)が、2019年5月から日本でも公開された。舞台となった米・ニューヨーク公共図書館(NYPL)は、蔵書数5,500万点、利用人数は年間1,700万人を超える、世界でも最大級の「知の殿堂」である(1)。ニューヨーク市の中心街・マンハッタンの5番街に面した本館は観光スポットとしても有名で、全体では