タグ

ブックマーク / origami.asablo.jp (11)

  • 正多面体展開図のカタログ(堀山貴史氏)、理科年表、そして、富士山: 前川淳 折り紙&かたち散歩

    先週の土曜日は、折り紙の科学・数学教育研究集会。それぞれの発表も興味深いものだったが、一番印象にのこったのは、堀山貴史さんが持ってきた正十二面体と正二十面体の展開図のカタログかもしれない。 以前、リストを見せてもらったさいに、「きちんとハードカバーで製したほうが面白い」と話していたものだ。堀山さんは、まさにそのハードカバー版を持ってきた。正十二面体と正二十面体の展開図は、どちらも43380個あるので、1ページ100個掲載で434ページの「大著」である。 まずはネタ的に面白いのではあるが、ぱらぱらめくっていると案外飽きない。「ハミルトン路(つまり、枝分かれのない展開図)を探せ」なんてゲームもできるが、「理詰めなのに、ほとんど無意味」なので、見ていると一種の瞑想ができる。1-2ページの正四、六、八面体も加えて、全5巻にしてほしい。 これは、ただただ図が並ぶだだが、ただただ数値が並ぶとい

  • 星の賽: 前川淳 折り紙&かたち散歩

    ドイツ文学と思想史の研究者・長谷川晴生さんのTwitterで、トートナウベルクという村のハイデガーの山荘の近くに、多面体の意匠のついた「星の賽の井戸」なるものがあることを知った。 この立体は、幾何学の用語では、stella octangula(星型八面体)と呼ばれるものだ。星の賽(sternwürfel)という言葉(訳語もいいねえ)は、ハイデガーの山荘を訪ねたツェランの詩『トートナウベルク』にでてくるものである。この言葉がいつからあるのかはわからないが、ここでsternwürfel すなわち star dice(cube)という言葉が使われているのは「適切」だなあと思う。単に立体という意味でdice(cube)なのかもしれないが、この立体は立方体と相性がよいのだ。 この立体の8個の凸頂点は、立方体の頂点と一致し、凸になっている稜(辺)は、正方形の対角線と一致する。したがって、この立体を立方

  • 一枚折り立方体など: 前川淳 折り紙&かたち散歩

    一面の面積が元の正方形の1/13になる立方体をつくった。折り紙立方体の古典的名作・フジモトキューブは1/16なので、ちょっと大きい。最大で1面が1/8のものも可能だが、きれいに組める構造として、この1/13はとてもよい。小さい千代紙でつくっているうちに、13個つくるまでやめられなくなった。展開図からも読み取れる(?)3^2+2^2=(5^2+1^2)/2=13という式も、ちょっときれいだ。

  • カージオイドなど: 前川淳 折り紙&かたち散歩

    レストランの伝票ケースの中に、ハート型の線が見えることに気づいた。円柱の縁が斜めになっていることや素材の厚みは関係がなく、円柱の内側の反射光がつくるもので、r=1+cosθで表されるカージオイド曲線だ。

  • 松露饅頭のパッケージ: 前川淳 折り紙&かたち散歩

    もう1ヶ月近く前になるのだけれど、佐賀で、大原松露饅頭の5個入りを買った(写真左)。パッケージが面白い。 松露饅頭というのは、人形焼きのようなカステラ地の饅頭で、そのかたちはきれいな球状である。 パッケージの基的な構造は、球を正方形状に4個並べ、その上にもうひとつ球をおいた四角錐状のかたちを包むというものである。これを解析(?)してみた。(以下、計算間違いはないはず…) 四角錐の側面として、まず考えられるのは正三角形である。側面をこのかたちにすると、中で球の遊びがなく、ぎっしり詰まったものになる。しかし、詰まってはいるのだが、四角錐の体積から5個の球の体積を引いた隙間の体積が最小となるのは、このときではない。 4個の球が底面に接して並び、側面が二等辺三角形となるという条件で、隙間の体積が最小になる値を計算すると、側面の二等辺三角形の頂角は、sinθ=3√(2898-130√17)/178

  • ヴァレリー: 前川淳 折り紙&かたち散歩

    「私は数学の専門家ではなく...学問のなかでの最たるこの美女にほれこんだ失意の男だ」という文を引用してから、ヴァレリーが読みたくなって、書店を数軒探して見つけた『ヴァレリー・セレクション 上』(東宏治、松田浩則編訳)や、書棚の奥から引っぱり出した『科学者たちのポール・ヴァレリー』(J.ロビンソン=ヴァレリー編 菅野昭正、恒川邦夫、松田浩則、塚昌則 訳)を読んでいた。 もちろんヴァレリーは自ら数学者であると称したことは一度もない。彼はあくまで専門家ではなく、その意味で、専門家でない人々がえてして示すような反応、たとえば、四原色の問題(引用者注:四色問題のことか?)だとか、コンパスを使う幾何の作図の問題だとか、たしかに一見ユニークに思われるにせよ、結局はマージナルな問題に妙に感心するという一面がある。 (『ヴァレリーにおける数学の概念』ジャン・デュードネ)(恒川邦夫訳) デュードネ氏、偉そう

  • 菓子袋を閉じる折りかた: 前川淳 折り紙&かたち散歩

    こういうもの(http://twitpic.com/c5z2qq)があって、これは面白いと思ったのだが、じっさいに試してみると、袋の素材や大きさにもよるようで、けっこう難しい。別の方法を考えてみた。

  • エッシャー風折鶴ステンドグラスとピックの公式: 前川淳 折り紙&かたち散歩

    に製作を頼んでいたエッシャー風折鶴連続模様のステンドグラスが完成した。のステンドグラス製作経験は1年に満たず、期間は4ヶ月ぐらいかかったけれど、これは、なかなかのものじゃないだろうか。 「エッシャー風折鶴」(デザイン:前川淳 製作:前川純子(すみこ)) デザイン自体はかなり以前のもので、基は、図のように、4×6の長方形を、格子点を基準に、出っ張らせたりへっこませたりしてつくったものである。 格子点を結んだ多角形と言えば、昨日の書き込み・「円周率近似値の日」にもそういった図形がでてきたが、こうした図形に当てはまる「ピックの公式」というものがあって、これが面白いので、紹介しておこう。意外性があって、実用性もあるのだが、それほどは知られていない式である。 ピックの公式 頂点が等間隔の格子点にのる、穴のない多角形の面積は、つぎのように求められる。 内部に含まれる格子点の数をP、辺にのる格子点

  • π> 3.05: 前川淳 折り紙&かたち散歩

    何年か前に東京大学の入試で、「円周率が3.05以上であることを証明せよ」という問題があったらしい。三角関数の半角公式などを使って、正八角形や正十二角形の周囲の長さを計算するのが正攻法だろう。正八角形の周囲をその対角線で計ると、3.061...になる。 この計算は、三角関数の公式を使わなくてもできる。折り紙好きならおなじみの三角形、22.5度の鋭角を持つ直角三角形は、短辺を1とすると、長辺は1+√2になり、斜辺は√(4+2√2)になる。ここで使うのは、二等辺三角形の性質やピタゴラスの定理だけだ。正八角形はこの三角形を16個集めたかたちである。つまり、これは中学生でも解ける問題である。 ただ、ここから導かれる8/√(4+2√2)>3.05という不等式が正しいことを示すための手計算は、それなりの手間がかかる。√2<1.42といった近似値を使うと、すこし楽になるが、この近似値をきちんと示すことも必

  • うねる陳列棚: 前川淳 折り紙&かたち散歩

    山梨県北杜市小淵沢にある「休日研究所」というお店で、面白い陳列棚を見た。平行六面体が4つ重なったかたちなのだが、ムービーのようにうねうねと動くのだ(コマ数を極端に落としているが、じっさいはもっとなめらかだ)。

  • 前川淳 折り紙&かたち散歩

    北村薫さんの、文芸に関する謎を解くシリーズの新刊『中野のお父さんと五つの謎』の中の一編に、笠原邦彦さんの『おりがみ新世界』や、『千羽鶴折形』の解説がでてきて、意想外な登場ながらもうなずきながら読んだのだが、落ち着いて考えると、北村さんが折り紙まで守備範囲にしているのが、まずは驚きである。 なお、作中、『千羽鶴折形』に関して秋里籬島の名が出てこないのは、作中で取り上げられるが、すばる書房『おりがみ2 千羽鶴折形 江戸の古典 魯縞庵・作』(笠原、1976)で、これは主に折りかたの解説のだからである。わたしもこれで『千羽鶴折形』全49種を折った。なつかしいだ。同書の狂歌など含めての解説は、岡村昌夫さんの『つなぎ折鶴の世界―連鶴の古典『秘伝千羽鶴折形』』が詳しい。 小津夜景さんのエッセイ『ロゴスと巻貝』が面白かったので、小津さんの『いつかたこぶねになる日』も読んだところ(文庫にもなっていた

  • 1