■弟が姉を幽閉する歴史 「名画で読み解く」シリーズの第3弾。ハプスブルク家、ブルボン家ときて、ネタは尽きたかと思ったらロシアのロマノフ家を出してきた。この王家はこんなに波瀾万丈なんですよ、ということを名画から教えてくれるのだが、これもたいへん面白い。 西欧やロシアの王家なんて近世に戦いによって樹立されたものだから盤石なようで盤石でない。だから絵画で正統性や高貴さを演出してるわけだ。つまり神話を創り出そうとしたのである。今となってはその王朝もなくなり、神話ではなくなり、「歴史」によっていいこと悪いことが白日のもとにさらされてしまった。そんな今だから、見ていて楽しくてしょうがない、王家がらみの名画なのだ。 オーストリアやフランスとくらべてロシアとくると何かあか抜けず、田舎の金持ち、みたいなイメージがある。さすがに王家となるとそんなことはない……こともなくて、イワン雷帝が息子とケンカしたあげく息