「勘というのは、棚ボタ式に出てくるものじゃない。それまでに経験したことが体の中に残っているから、ピンとくるんです」 仕事でも何でも、「これだ」という直感がよい結果をもたらす例は少なくない。論理的でも科学的でもないだけに、いい勘をしている人は、とかくその天分をうらやましがられる。 血や肉になっている経験がリアルタイムに 出てきて、それでピンとくる 飯島澄男(いいじま・すみお) 1939年生まれ。東北大学大学院物理学科博士課程修了。91年に第5の炭素物質・カーボンナノチューブを発見。現在は名城大学大学院理工学研究科教授、NEC特別主席研究員などを兼ねる。文化勲章受章者。 写真:田渕睦深 しかし物理学者の飯島澄男は、勘とは経験の蓄積であり、決して天から降ってくるものではないと言う。飯島は1991年にカーボンナノチューブ(CNT)を発見。CNTは針状の結晶をした第5の炭素物質