昨年11月以降、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の評価報告書、あるいはIPCC自体の信頼性に影響を及ぼしかねない2つの事件が発生した。まずは、この2つの事件の内容につき検討し、その後、筆者が第3次および第4次評価報告書の執筆を担当して実際に経験した立場から、報告書の信頼性の問題を考える。なお、2つの事件については、筆者は気候の科学の専門家でなく、また1000件を超える漏出した電子メールのすべてを読むことはできない(メールの全貌については、ウェブサイト「 East Anglia Confirmed Emails from the Climate Research Unit - Searchable 」を参照)。 筆者は、日ごろものを書く際、新聞・雑誌の記事ではなく原典に当たるよう心掛けているが、今回は上記の事情から次ページの漏出したメールの内容については、英国の「The Econom